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日本語

「本体が一番ボケる」。IVSのクリエイティブを一人で背負う浅尾さんが、立命館の学生に語っていたこと

#クリエイティブ
#ボケ担当

こんにちは。IVS2026のPR担当の砂流です。

先日、IVSのクリエイティブを統括している浅尾尭洋さんが、立命館大学の映像系の学部生に向けて、特別授業をしました。

浅尾さんは、IVSのHEAD OF STRATEGY & CREATIVE。あわせて、映像制作会社のzFilms株式会社の代表でもあります。京都大学の工学部を出て、ソフトバンクでマーケティングを担当したのち、2019年にzFilmsを設立。2020年からIVSの制作に加わり、いまは戦略とクリエイティブを一手に引き受けています。

要するに、IVSの毎年のクレイジーなクリエイティブは浅尾さんが作っているわけです!

僕も5年間IVSを見てきていますが、IVSの「らしさ」の要は浅尾さんです。今回の講義は、その設計思想がそのまま言葉になっていました。ということで、その内容を紹介します。

なぜ「いかがわしい若者が集まる」と言われるのか

IVSは、毎年京都に10,000人を超える人が集まる、国内最大規模のスタートアップカンファレンスです。経営者、投資家、大企業、行政、クリエイター。次の産業を作ろうとする人たちが、集います。

このイベントを語るとき、浅尾さんがよく言っているのが、「いかがわしい」という言葉です。浅尾さんは、この「いかがわしさ」をとてもポジティブな言葉として受け取っています。

「俺は1兆円企業を作る」と言う若者がいる。実態はまだ伴っていないかもしれない。でも、知らないからこそ言えるハッタリがあり、エネルギーだけは渦巻いている。そういうことを言っている若者の誰かが、10年後、20年後に本当に大きなものを生み出すかもしれない。そういう有象無象のエネルギーが渦巻く場こそが、IVSの価値だと浅尾さんは話していました。

広報の立場で見ても、これはIVSの核心をついた説明です。IVSは「次世代の、起爆剤に。」をミッションに掲げています。何者かになろうとする人たちのエネルギーが街ごと巻き込み、渦になる。そこを意識して設計しています。

「本体が一番ボケる」という設計

では、その渦はどうやって生まれているのか。浅尾さんの言葉は「本体が一番ボケる」という設計思想でした。

IVS2026では、公式のMV「無限夢想家」を発表しました。ハニワのキャラクターが戦う映像に、テーマソングが乗っている。ビジネスイベントの公式コンテンツとしては、かなり振り切った内容です。

これは意図的だと、浅尾さんは言います。主催であるIVSの運営が一番ボケて、「ここまでやっていいんだ」という空気を作る。すると参加者の側も、「IVSなら何をやってもいいんだ」と感じて、自由に動き出す。

その象徴が、IVS期間中に京都中で開かれるサイドイベントです。参加者自身が主催するもので、2025年には500を数えました。テーマも自由で、お坊さんが登壇する仏教の催しもあれば、「無限パスタと長寿に挑むピッチ」のような、一見何のことか分からない企画まであります。

普通のカンファレンスなら認めにくい企画も、IVSでは成立する。この寛容さこそIVSならではだと、浅尾さんは話していました。運営がボケることで、参加者の自由度の天井を上げている。クリエイティブが、ブランドの寛容さそのものを設計しているわけです。

主役は参加者。だから、サイドイベントへ重心が移っていく

浅尾さんが繰り返し強調していたのが、「IVSの主役は参加者だ」ということです。

東京で開かれるイベントだと、参加者はその日のうちに終電で帰ってしまう。でもIVSは、わざわざ京都まで来て、泊まって、夜遅くまで街に残る。来場者の60%以上が関東から来ていて、宿泊費まで払ってやってくる。それだけのエンゲージメントがあるからこそ、参加者が自分でサイドイベントを立ち上げ、仕掛ける側に回る。

だからこそ浅尾さんは、参加者に主催する側へ回り、主役になってほしいと考えています。実際、今年は学生に特化した巨大なサイドイベント「SPIKES」が新しく立ち上がり、学生たち自身が主体となって、トガッたイベントを企画しています。

その世界観を、一人で作っている

ここからは、PR担当として一番すごいと思う部分です。

さきほどのMVも、特設サイトも、クリエイティブも、浅尾さんはほぼ一人で作っています。

たとえばIVSには、何百というセッションと登壇者がいます。その一人ひとりの紹介画像を作る作業は、これまで5人や6人が貼り付いて、毎年この時期に苦労してきたものでした。それを浅尾さんは、登壇者情報のスプレッドシートと連動させて、画像が自動で生成される仕組みにしてしまった。情報を直せば画像も直る。当日会場に掲示するポスターまで、同じ仕組みで作っています。

その制作の中心にあるのが、AIです。浅尾さんはClaude Codeを常に7個ほど並列で立ち上げ、MV、Webサイト、学生企画のサイトといった複数のプロジェクトを回しています。その映像制作も、キャラクター設定を固め、脚本と世界観を作り、絵コンテに落とし込み、画像を生成する。その工程をすべてAIのワークフローに乗せて、一人で動かしている。

「これは便利だから真似してほしい」と、浅尾さんは制作の設計を学生にそのまま公開していました。

「ビジュアルは誰でも作れる」時代に、何が価値になるか

ここで浅尾さんが言っていたことが、クリエイターを目指す学生にとって、誠実な話でした。

AIで「それっぽい」ビジュアルを作るだけなら、もう誰でもできる。だから、ビジュアルがすごいこと自体には、ほとんど価値がなくなる。

ではどこで差がつくのか。浅尾さんの答えは「個性と世界観の一貫性、そしてその土台にある知識」でした。

たとえば映像には、シネマトグラフィーという考え方があります。どんなアングルで、どんなレンズで、どんな色で撮るか。それによって、見る人にどんな感情を伝えるか。映画の青空が実際よりずっと青いのは、リアルな色ではなく「記憶のなかの青空」を作っているからだ、と浅尾さんは例を挙げていました。こうした前提の知識がないと、AIを使っても、表層をなぞるだけの映像にしかなりません。

逆に、自分の「これがいい」という基準を一貫して持っている人は、AIを使ってもその人ならではの表現にたどり着ける。「IVSといえばこの感じ」と思わせる世界観は、浅尾さんにしか生み出せない。だからこそ価値になる。

ツールとして何を学べばいいかと問われて、浅尾さんは迷わず「Claude Code」と答えていました。ただし、その前提として「結局はワークフロー」だと。一つの専門だけでなく、企画から表現までを通しでやれる人になること。AIで分業の現場が縮むなか、これからはそういう人が強い、という話でした。

10年前、ボランティアで出会った二人

最後に、個人的に好きなエピソードを。

浅尾さんがIVSに関わったきっかけは、学生時代のボランティアスタッフでした。当時、同じくスタッフをしていたのが、いまIVSの代表を務める島川敏明さんです。島川さんが「帰るのが遠い」と言うので、浅尾さんは自分の下宿に泊め、そこから二人で朝早くから一緒に動いていた。その島川さんが、IVSを主催するファンド(現・Headline Japan)に入り、やがて代表になった。

島川さん自身も、スタッフ経験からIVSのキャリアを始めた人です。10年前に出会った二人が、いまのIVSを作っている。

浅尾さんは、コミュニティの価値について、こんなふうに話していました。何かに挑戦したい人、尖りたい人と、早いうちにつながっておく。それぞれがやり続けていれば、どこかで交わって、結局は仲間になる。きっかけになる仲間と出会えることが、一番価値があるんじゃないか、と。

IVSが、若い人にとってそういう場所であってほしい。広報としても、心からそう思います。

ということで、IVSのクリエイティブを背負う浅尾さんが立命館で語っていたことを、PR担当としてご紹介しました。

ハニワ君が戦うミュージックビデオも、街にあふれる無数のサイドイベントも、「いかがわしい若者が集まる」という評価も、バラバラに見えて、実は一つの設計思想でつながっています。主催が率先して振り切り、参加者の自由の天井を上げる。その熱量を仕組みで支える。IVSというブランドは、そうやって形づくられています。

7月1日から3日まで、京都でお待ちしています。

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