InfinityVentures Newsletter #04:NFTの現在地(市場規模、各レイヤーにいるプレイヤー、グローバルと日本と中国の現状比較)と今後について

2021.04.30

NFTがアツい!

2018年に「CryptoKitties」が一世を風靡し、仮想通貨界隈では「NFT」が広まりました。様々なNFT関連のプロジェクトが立て続けに出現し、2020年末から開花し始めました。今では、マスメディアにも頻繁に取り上げられるものも少なくありません。

NFT取引市場のマーケットサイズは下図の通りです。グローバルでみても1000億円未満と未熟な市場ではありますが、凄まじいスピードで急成長しております。

オークションで落札された有名なNFTとして下記が例として挙げられます。

・Beeple氏によるデジタルアート作品:$69Mで落札(大手オークションハウスChristie’s)
・デジタルキャラクターCryptoPunks#7804:$7.6Mで落札
・Twitter創業者の初めてのツイート:$2.5Mで落札

他にも楽曲、ミーム(Meme:面白画像)、映像などがNFTとして販売された例もあります。

NFT関連のスタートアップによる資金調達も活発です。今年(2021年)、「CryptoKitties」を開発したDapper Labsが3億ドル以上を調達、NFTマーケットプレイスのOpenSeaが2300万ドルを調達し、その他SuperRare、Zora、Mintableといった会社が、数百万ドルの資金を調達しました。

    NFTとは

Non-Fungible Token:非代替性トークン、直訳すると「代替可能(Fungible)でないトークン」です。例えばBitcoinやEther、そして一時期流行ったICOなどで発行されるトークンはFungibleであり、法定通貨と同じく、一枚一枚のFungible Tokenは全部同等で代替性を持っています。一方で、一枚一枚のNon Fungible Tokenにはそれぞれ異なった情報が記載されており、異なる価値を持っているため、代替が不可能となります。NFTを交換するには、代替可能な通貨を用いて取引することが必要となります。

NFTが価値あるものと見なされ、トークンエコノミーを作り出せた背景として、「第三者による検証なく、真正性を証明可能」、「理論上永久に保有可能」、「プログラミング可能」という技術優位性があり、この三点が発行側と購入側に評価されています。

技術の詳細は省略させて頂きますが、そういった技術優位性を具現化した例として、StockXやMonokabuがあります。これらのサービスは、鑑定士による鑑定コストの発生や、NFT取引所運営会社の倒産によってNFT未回収になることがなく、転売を含めセカンダリー取引が行われるたびに「最初の発行者にX%分の売上を還元する」などプログラミングすることが可能になります。

しかしNFTはDRM(著作権管理システム)ではなく、「作品自体」の複製を防げるわけでもありません。多くの場合、「唯一である」ことが担保されるのは、作品のデータそのものではなく、作品に付随する情報、すなわち「どのように供給され、誰にどう売られたものなのか」という付帯情報だけとなります。

NFTのエコシステム現状

1. グローバル

現時点でNFT界隈で盛り上げを見せているのは主に芸術、ゲームアイテム、音楽、ネットミーム(面白画像)など、今までバリューをマネタイズできていなかったものです。そういったアセットをもっている発行者がNFT発行プラットフォームでNFTを発行、NFTマーケットプライスで販売し、消費者・投資家はそういったマーケットプレイスでNFTを購入や取引をします。また、そういったNFT発行プラットフォームやNFTマーケットプレイスにプロトコルなど技術を提供するプレイヤーもいます。各レイヤーのプレイヤーは下図の通りです。

ユーザー視点では大きく分けて3種類のプラットフォーム上でNFTを購入できます:

・多数の発行体により発行された様々なNFTが取引できるマーケットプレイス(例:OpenSea、NiftyGateway、SuperRareなど)

・単一の発行体により発行されたいちゲームもしくはいちシリーズのNFTしか取引できないプラットフォーム(例:NBAがDapperLabsの技術を使って作った「NBA Top Shot」、F1がAnimoca Brandsの技術で作った「F1 DealtaTime」、LarvaLabsが自社の技術で作った「CryptoPunks」など)

・既存のオークションハウス。世界最古の国際競売会社であるSotheby’sや世界最大手のオークションハウスであるChristie’sがすでにNFTオークションに参画しています。中国のオークションハウス大手Yongle(永楽)社も参画することを発表しました。

2. 日本

日本でNFTを取り入れているプレイヤーの数も質もアメリカには劣りますが、主に以下企業が大きな動きを見せています:

 - BlockBase:2019年1月に日本初となるNFT取引マーケットプレイス「Bazaaar」を提供開始。レコード会社Maltine Records社とNFTを活用した楽曲配信の実証実験も発表。

 - メタップス傘下のMiime:2019年9月にC2CのみのNFT取引マーケットプレイス「Miime(ミーム)」を運営開始。2021年2月にコインチェックがMiime運営会社であるメタップスアルファ全株式を取得。

 - マネックス傘下のコインチェック:2021年3月に暗号資産取引所としては日本初となるNFT取引マーケットプレイスを提供開始。2つのゲームタイトルで利用できるNFTを、コインチェックで取扱う13種類の暗号資産と交換することが可能。

 - スマートアプリ:2021年3月にNFT取引マーケットプレイス「Nanakusa」を提供開始。7つのゲームタイトルを取り扱う。

 - Financie:ブロックチェーンを用いたクラウドファンディング・プラットフォームを2019年3月にβローンチし、2021年3月にNFTの発行・流通サービスを提供開始。

 - TheotexGroupHD:2021年1月にNFTマーケットプレイス「TOKENLINK」を提供開始。

 - 博報堂DYメディアパートナーズ:2020年5月に日本円でNFTを購入できるNFT販売所「NFT Agency」を開発し、販売所機能をAPIとして提供開始。

 - Gaudiy:2020年7月にセプテーニ傘下のマンガアプリ「GANMA!」と、NFTで電子書籍の閲覧権ではなく所有権を販売する実証実験を開始。

 - CryptoGames:2021年3月にイラスト作品をNFTとしてブロックチェーン上で発行できるサービス「NFT Studio」を提供開始。

 - Shinwa Wise:2021年3月に東証JASDAQ上場企業であるオークション運営企業Shinwa Wise社がNFTの生成・販売事業を開始することを、取締役会で決議したことを発表。

 - スタートバーン:2014年創業。2019年にUTEC、電通、SBIなどから4.6億円を調達しており、アート作品の流通インフラをブロックチェーン技術で構築。

 - GMO:2021年4月にNFTを活用したアートや音楽作品の流通プラットフォームを数カ月以内に構築することを発表。 

 - LINE:2021年4月に現在NFTプラットフォームの構築を進めていることをTwitter上で発表。

 - エイベックス:2021年4月にデジタル証明書サービス「A Trust」及びデジタルコンテンツの著作権を一元管理する著作権流通システム「AssetBank」を提供開始。

3. 中国

中国では民間企業による仮想通貨の販売及び宣伝は禁止されていますが、NFTが禁止対象になるかどうかについてはまだ明確なスタンスを見せていません。よって、NFTマーケットプレイスなどはまだあまり出てきておりません。一方で、個人による仮想通貨の保有および取引は厳しく取り締まられていないため、中国投資家が海外プラットフォームでNFTのオークションに参加したり、中国のアーティストが海外プラットフォームでNFTを販売したりすることはよく見られます。そんな中で、以下二つのイベントが目立ちました:

大規模な「クリプトアート(crypto art)」展覧会が2021年3月に北京で開催されました。美術館で開催されるのは世界初となります。展覧会運営会社UCCA Labsが企画し、今NFT界隈で最も有名なクリプトアーティストであるBeeple氏を含め30名のアーティストによる60点以上の作品が展示されました。なお本展は、4月9日~11日の会期で上海で巡回展示される予定です。

中国初のNFT投資のロードショーが2020年12月湖北省武漢市で開催されました。フィンテックに特化したドイツ発インキュベーターであるCandaq社が主催で、iNFT、CryptoArt、Finannelなど中国発のNFTマーケットプレイスが出席しました。

NFTの将来を予測

今後の大きなトレンドとして以下の3つを予想しています。

1.NFTという技術は2018年にハイプ・サイクルの黎明期を経て、2021年に流行期を迎えました。必然的に次は反動期を迎え、NFTを投機対象とする人は減り、NFTの価値に対する疑問を持つ人が増えます。NFTの取引金額だけを見ると、今ほど盛り上がらなくなると考えます。一方で、どうすればNFTを使って長期的に事業や価値を作っていけるかということがより議論され、試行錯誤が重ねられるようになり、より健全なプロダクトと市場が作られていくと考えます。

2.バーチャル空間やVR/ARサービスとの連携が増えていくと考えます。コロナの影響で、エンタープライズだけでなく、仕事もオンライン上のバーチャル空間やVRの世界ですることが増えつつある中、このような空間内に存在する「モノ」の所有権や使用権を管理および取引するニーズが出てくると予想します。NFTはそういった問題を解決するのにぴったりなプロダクトだと思います。

3.NFTをICチップやQRコードに組み入れることによって、現実世界で物理的に存在する商品の所有権もトークンのように取引と管理ができると考えられます。実際にそういった取り組みをしているベンチャーもいくつか出てきており、投資検討をしています。

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