Infinity Ventures News letter #03: 『起業家による、市場規模解説』17LIVE 小野さんによる解説

2021.04.16

2021年の1月中旬頃でしょうか。Clubhouseが日本で一気に流行り始めました。著名な方々のフィードに並ぶ、”Clubhouse始めました!”の投稿。これは覗いてみたくなります。

Clubhouseは、残っていくサービスなのか?この答えは、もう少し経ったら見えてくるのではと思います。ただ、どれだけ新しいサービスが台頭してきても、大切なことは変わらないと思っています。なめらかなユーザーインターフェイスは、間違いなくユーザーの満足度をあげます。ですが、本当に大切なのは ”人間のどんな感情を満足させるプラットホームであるか”、そして、そのプラットホームを使ってユーザーが”何を発信しているか”。いつの時代も、ここに尽きるのだと思います。

 

今回は、ライブ配信アプリ「17LIVE (イチナナ)」を提供する17LIVE株式会社 代表取締役 小野裕史さんのインタビューをお届けします。

「17LIVE (イチナナ)」は、世界6カ国に拠点を置き、ユーザー数4,500万人を超える、日本No.1ライブ配信アプリです。

 

小野さんは中国での事例を元に、ライブ配信を日本に持ち込みました。流行を考える上で、中国の動向を正しく見ることは重要なことだと言います。

 

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小野 裕史(Hirofumi Ono)

17LIVE株式会社代表取締役/Global CEO, 17LIVE inc. 

1974 年生まれ、札幌出身。東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻修了。大学院生時代より、個人でモバイルメディアを複数プロデュースする。2000年より株式会社シーエー・モバイルの第一号社員として創業を率い、2008年専務取締役を退任し独立。同年インフィニティ・ベンチャーズLLPを設立。日本と中華圏でベンチャー投資を行いながら、自ら起業家としてサンシャイン牧場のRekoo Japan、ジモティー、グルーポン・ジャパン、Farfetch Japanなどの創業を率いた投資家兼シリアルアントレプレナー。また、国内最大級のベンチャー経営者カンファレンスである「Infinity Ventures Summit」を12年にわたって主催。2017年、ライブ配信アプリ「17LIVE」を運営するM17グループ(現:17LIVE Inc.)の日本法人である株式会社17 Media Japan(現:17LIVE株式会社)を設立。代表取締役に就任。2020年、インフィニティベンチャーズの代表を退任し、17LIVE Inc.のグローバルCEOに就任。

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中国で今起こっていること

中国国内トップのライブ配信プラットフォームは、*MAUで人口の10%程、中国の人口を考えると、MAUで1億超えです。そういったプラットフォームがいくつか存在しています。

加えて、ライブ配信市場の売上は、一般的にモバイルゲーム市場の約半分ほどの規模と言われています。この売上は主に*ギフティングによるものです。

 

同じことを日本で当てはめてみます。人口の10%なので、MAUは1000万〜1300万。売上については、一般的にモバイルゲーム市場が約1兆円なので、その半分の5000億円になります。

一方、中国ではライブコマースも劇的に伸びており、2020年の中国ではEコマース市場の内10%程が、ライブコマースによるものでした。日本はまだ少ないですが、これからライブコマースが徐々に広がり、Eコマース市場においても中国のような割合になっていくと予想しています。

ライブコマースも含めて、”ライブ配信”と定義されるサービスは広範に及びますが、17LIVE社では「映像+コミュニケーション」をメインのライブ配信市場として定義しています。

 

エンターテインメント業界の様々なコンテンツ(ゲームや音楽)にライブという文脈が乗っかると、その分野のマーケットにおける一定のパーセンテージがライブ配信市場に置き換わっていくと推測しています。つまり、*TAMという点で言うと大きな可能性があると感じています。

 

*MAU:Monthly Active Usersの略で、月ごとに利用したユーザー数を示す

*ギフティング:配信中にアイテムをギフトする(贈る)ことで、ユーザーと配信主が一緒に配信を盛り上げていく機能

*TAM:Total Addressable Marketの略で、ある市場の中で獲得可能性のある最大の市場規模。商品・サービスの総需要を指す。

 

デジタルならではの、表現と価値

既存のいわゆるリアルな音楽ライブ(=ライブコンサート)がコロナ禍によって開催しにくくなった。それらをオンラインに置き換える動きは活発化しています。

音楽とライブ配信の相性は非常に良いです。ライブコンサートは、その場にいて、その時その瞬間にしか聞けないことに価値があり、そこに人々が集まって盛り上がることに更なる価値があります。ですが、これは物理的な場所がなくてもでき、物理的な場所ではなくバーチャルというオンラインのライブ配信の方が、多くの人にリーチできます。

それは、今までには不可能だったデジタルの世界ならではの新しい表現や盛り上げ方ができるということです。

この一連の体験をオンラインに置き換え、”デジタルだからこそできる表現”を加えることで、スポーツのライブ配信はさらに強化されていくと考えております。スポーツにおいては、そこまで大きな動きはまだ見えていないですが、ライブ配信によって台頭してくる業界の一つであると予想をしています。

 

加えて、ライブ配信のもう一つのビジネスモデルとして*ペイ・パー・ビューがあります。音楽のコンサートライブ、スポーツライブのオンライン化は今後確実に増えると考えていますが、ベースはペイ・パー・ビューです。

その上でギフティング的な要素も出てくると思いますが、今後のライブ配信市場におけるビジネスモデルとして注目されるのは、「ギフティング」、「ライブコマース」、「ペイ・パー・ビュー」の3つであると考えております。

*ペイ・パー・ビュー:有料コンテンツに料金を支払って視聴するシステム。

5G時代、これからが本当の意味でのライブ配信市場元年

日本において、ライブ配信はまだまだ新しい存在。加えてライブ配信という言葉自体が幅広いサービスを包含しているので、本当の意味でライブ配信というものの中身がちゃんと世の中に伝わっていないと考えています。

5G(特に*ミリ波の5G)における最大の魅力は、その*レイテンシが縮まることだと思っています。従って、オンラインのライブコミュニケーションでは劇的な進化が遂げられると予想しています。

ここからが本当の意味での、あらゆる広い意味でのライブ配信市場元年となってくると思います。

 

*ミリ波:5Gから利用できる新しい周波数帯のこと

*レイテンシ:データ転送における代表的な指標のひとつ。転送要求を出してから実際にデータが送られてくるまでに生じる、通信の遅延時間のこと。