【株式会社エピグノ】もうナースを退職に追い込まない!人材マネジメントシステム

2020.07.17

乾 文良氏

1986年生まれ。香川県出身。慶應義塾大学大学院経営管理研究科(Mannheim Business Schoolに交換留学)卒。富士通にてセールス/マーケティング業務に従事。退職後の慶應ビジネススクールを経て、ファミリー企業において経営メンバーとして経営企画、M&A業務などに従事し、継承を捨て、慶應ビジネススクールの同期である医師の志賀とエピグノを共同創業。医療機関向けマネジメントソリューションを開発、販売している。MBA修了。

 

経営者一族のもとで育つ

ー大企業、ビジネススクール、ファミリー企業など様々な経験をしてから起業をされていると思うのですが、起業するまでにどのような経緯があったのでしょう。

私は学生起業ではなく社会人になってからの起業なんですけど、もともと私の実家が会社をやっていて、祖父が立ち上げた産業系の機器の商社でした。なので、ずっと昔から経営者っていう仕事が身近にあったんですよね。

ちっちゃいときからずっと家に取引先の方とか社員さんとかが飲みにきてたり、日曜日とかも会社に連れて行かれて、社員さんとちっちゃいときから交流があってとか。

そういう家に生まれて、経営者っていい仕事だなってずっと思っていて。いろんな人の人生を幸せにできるし、すごく影響力の大きい仕事だしということで経営者になりたいなって小さい頃からからずっと思っていました。

完全100%オーナー企業なので、乾家が継ぐ、子供が継ぐみたいな感じの会社だったんで僕もそこを継ぐんだろうなみたいな感じで、ずっと育ってきたんですよね。そこから海外留学したり、そこから富士通に就職したんです。

ーそこについても詳しく教えてください!

ずっと経営者になるためのビジネス系の学部に行こうと思ってたんですけど、実は大学では文学部に行って。

あまりに世界史が好きになってしまって、文学部に行こうと決めてました。親父とむちゃくちゃ喧嘩になったんですけど、絶対行くんだってなって文学部に行きました。

それから、大学3年の時期には周りはみんな就活を始めていました。リーマンショックの前だったんで、すごく状況も良かったと思います。

そのときに僕もESとかを書いたりしてたんですけど、全然しっくりこなくて。一応書くんですよ。キャノンとか丸紅とかに行きたいって書くんですけど、全然自分の中では本当に行きたいと思ってなくて。これ駄目だなあと思い、就活をやめました

当時ずっと大学時代はバックパッカーで世界をぐるぐる回っていました。

その時イギリスがすごい好きで、イギリスに留学したいと思ってたんですよね。なので、もう就活やめて、イギリス行こうと思って、1年行ったんですよ。

それでイギリスに行っている間にリーマンショックが起こっちゃって。戻ってきたらすごい就職氷河期になっちゃってて。でもまあ就職しなきゃなあと思って。

グローバルに働けるところ、大きな会社大きなインパクトを与える仕事がいいなという感じで、メーカー商社しか受けませんでした。それで富士通とご縁があって富士通に入ったというところです。

その時は親の会社を継ぐために成長しなきゃなって思ってたんで一生懸命働いて継ごうって思って富士通で一生懸命に働いていました。当時はメガバンク向けのアカウントセールスをやっていました。

働いてるうちにそろそろ親父の年齢的にも70近くなってきて、会社戻らないと継承に間に合わないというリアルな話が出てきて。そこで戻ろうとは思ったんですけど、全然自分の能力的にもまだまだ駄目だなあと思っていて。

やっぱり、富士通ってベンチャーと違って本当に大きな組織なんで、1人でやることって本当に決められているんですよね。営業なら営業しかやらないですし、すごく硬い組織で、重たい管理の中で生きていて。

あんまり自分の力がついていなみたいな、経営学ちゃんとやってないしみたいな。このまま富士通にいても営業は営業のままだし。やっぱり短期間で、もっと経営学に対してしっかり学べる会社とか、組織に行かなきゃなと思い、そこで当たったのはビジネススクールだったんですよね。

夜間とか結構最近流行っていますけど、夜間で中途半端にやるよりは、やるんだったらしっかり2年間フルタイムでMBAに重みを置こうと思って、会社も辞めました。

ビジネススクールに入ってからの2年間は、1年半ぐらいは日本で、後の半年はドイツにビジネス留学をしていました。

それで親父の会社にもいよいよ戻ろうということで、卒業後に戻ったんですよ。だから僕の人生で2社目は親父の会社だったんですけど。

それで親父と一緒に働いてて、経営戦略ファイナンスの仕事とか、投資銀行さんと一緒にディール入ってM&Aをしたりとか、いろんな仕事をさせてもらえてました。

でも、結構良い経験をさせてもらったなと思いつつ、親父との経営の方針がかなり異なってるなっていうのがあって。親父だけに限らず社員さんとかの考え方もちょっとやっぱり自分の理想の会社じゃないなと思ってて。

なんでかというと、オーナー企業って、オーナー一族の既得権益をめちゃくちゃあるんですよ。すごいちっちゃいことで言うと入社試験も当然ないですし、人事面談とか評価もないんですよ、オーナー一族って。もうなんかこうチヤホヤされて怒られることもないし、何かこう周りも僕らに触れられないんですよね。

 

譲れない経営理念

いいところもあるんですけど。そういうところが僕は違うなと思っていて、やっぱり会社って個人のものじゃないですし、あくまで社会の公器に向けて走っていくべきだと思っていて。

その存在意義って個人が富を得るとかね、そういうことじゃないと思っていて。なので僕は上場するなり、少なくとも経営者に関してはしっかり生え抜きの方とか外部の方から、要は一族じゃない人たちからちゃんと輩出するような会社であるべきだと思っていて。

それをずっと会社でも言い続けたんですけど。これがもう全然やっぱり何言ってんのみたいな感じで、宇宙人感があったんでしょうね。全然合わなくて。

親父だけではなくて他の社員さんとかもそういう考え結構持っていて、それがなんかすごく僕には居心地が悪かったんですよ。

それでは、自分の理想となる会社をつくれないなと思って。ビジネススクールの時からもっとこの社会に対して公平性とか社会性高い会社をつくりたかったので、この人たちとはそういうふうにできないなと思って。

このまま行っても、僕は僕でそういう発想を持ってるし、会社は会社で理想を持っているから、多分お互いに不幸だし。

このまま行ってもうまく行かないだろうなと思って、その時に自分で、理想の会社をつくろうと思ったんですよね。それで起業しようと思って、今の会社をつくったって感じです。

ーどうして今の医療系の会社を起業したのですか?

二つあります。

一つはビジネスとしてやるんだったら、重厚長大じゃないですけど長く社会のインフラみたいなに残るビジネスがやりたかったんですよ。うちの親父の会社がそういう産業系の機器、インフラとか電力とか大手のメーカーの商社だったっていうのもあると思います。

結構堅苦しいかもしれないですけど、ゲームとかエンタメ系とかには全然興味なくて。凄い時代の趨勢がある感じが好きじゃないんです。何かやるんだったら、自分がおじいちゃんとかになっても、孫の世代ぐらいまで自分のつくったものとか残るものがずっとやりたくって。医療はまさにそんな業界だと思いましたね。

もう一つの理由は、ビジネススクールの同級生で、今のうちの共同創業者で志賀という人間です。

彼はドクターなんですけど、すごく紳士で良い人間で、僕が一番信頼できてた旧友でした。自分が親父の会社にいて、やめようかそのまま働くか悩んでるときに、彼と東京とかで話をして、起業をしようという話になったんですね。

その時に社会的に意義が高い医療という世界、彼が考えてたのも医療という世界だったし、僕もやっぱり会社作るならそういう会社にいたいなと思ってたし。

あと志賀っていう人間の人間性、信頼できる人柄っていうところが、すごくいいな。この人だったら一緒にできるな、というところで今のエピグノができたっていう感じですかね。

ー会社を辞めるか辞めないかで悩んでたと思うんですけど、志賀さんとどんなお話をされて起業を決意したんですか?

僕、ビジネススクールでは、どっちかというと目立つタイプだったんですよ。あんまり地味じゃなくて、結構発言とかもよくするし、留学とかもしてたし、目立つタイプで友達も多かったんです。

こういう友達の一部のすごく信頼できる友達とかに悩みを打ち明けていて。やめようかな起業しようかなあとか、転職しようかな、それともこのまま継ごうかなみたいな。

そしたら、風の噂じゃないですけど。みんなに知れ渡ってきて、何かふみくん悩んでるらしいよみたいな感じになって、それで志賀がそれを聞きつけてたんですよね。志賀は医療のビジネスを医者を続けながらでもやりたいと思っていて。

僕は当時四国にいたんですけど、M&Aの出張で東京に来ている時に志賀から声がかかって、飲まない?みたいな話をされて、いいよみたいな。

それで、未だに覚えてるのは、水天宮前のロイヤルパークホテルのバーで、僕は案件とかのミーティングが終わって夜11時ぐらいにホテルに戻るときに抜け出して。そこで、二人で飲んでで、一緒にやらないかという話をされて、悩んでるらしいね、みたいな。ぜひ乾くんとだったら一緒にやりたいと思っててという話をされて。

その日は答えは出さなかったんですけど、もうなんとなく胸の内はもう決まってて。もうこれで親父の会社辞めようと思って。M&Aだけはちゃんと責任持ってやります、それで終わったら僕は辞めますという話を数週間してから親父に言ったって感じですかね。

ーすんなりと受け入れてもらえましたか?

いやいや、もうひどかったです。だって会社はもう大紛糾して経営会議は開かれるわ、いろんな役員と面談になるわで。親父はブチギレて社長室で大喧嘩になるし、むちゃくちゃになってて。それで最後勘当になったんですよね。縁切るみたいな感じになって、最後もちゃんと挨拶も何もせず出てったみたいな。

 

ナースマネジメントへピボット

ーエピグノのプロダクトについて改めて教えてください

元々はEpignoオペ室という製品をつくっていたんですよね。手術室の手術室実績の可視化だとか、あと手術のスケジュールを自動でAIがつくるということをやっていたんですね。

手術時間を過去のデータから予測をして、この先生がこの手術この患者情報でやったときにかかる時間をAIが予測して出てくるということもやっていました。

それぞれ時間を予測したものを何日の何時からの手術室に入れたら一番手術室の稼働率をマキシマイズできるかというのをAIが計算して、自動でAIが入れるということもやってたんですね。

プロダクトのメッセージがとしては手術室の効率化を通して、病院経営を健全化しようというものでした。

それをやってたんですけど問題が結構あって。

一つはリソースの管理が結構難しい。手術のスケジュールをパズルみたいに入れ替えるんですけど、当然その手術には専任のナース、麻酔科医、外科医がいるわけですよね。さらに、ある機器が付属してある手術室でしかやっちゃいけないとか、あと感染の恐れがあるからこの部屋使っちゃいけないとか、いろいろあるんですよ。そういうリソースの管理とか条件の管理がすごく複雑で、そこをやりきる体力がベンチャーだとなかなか難しかったです。

もう一つが、一案件の金額が大きいんですよね。一回一千万円とか。なので、予算案件になっちゃうんですよ。つまり、あらかじめその年の予算が決まっているので期中にプレゼンをしていいねって採用にならないんです。来年の予算に入れておくから来年またやろうね、みたいな。そうするとスタートアップのキャッシュフロー的に厳しいです。初期のスタートアップのやるべきことじゃないよねっていうことになって、やめようってなったんですけど。

じゃあ何やろうかって話をしたときに、さっきの手術室のリソース管理の話に戻ると、やっぱり人のリソースを管理できないと、手術とかいろいろなAIのソフトでは管理できないと改めて思いました。

人がどこに何人いて、どういう能力を持ってるとか管理ができないと、組織の編成でもいろんな取引できないよねという話になりました。

じゃあ人のソリューションをやるべきで、その時に出てきたのが最大多数を占めるようなナースだよねということで今のタレントマネジメントソリューションにピボットしたというのが、ピボットの始まりですね。

ーピボットされる前の段階でトラクションはありましたか?

シンプルにキャッシュがきれかけてて次のシリーズに行かなきゃいけないときに、トラクションが全然生めてなかったんですよね。これだと厳しかったっていうのがあって。

2つの病院に導入していたんですけど1つの病院は無償で導入してもらってたんで、ほとんど売り上げとしてはなく、実際の現場でプロダクトとしてのKPIは取れてなくて。

なぜかっていうと、手術のスケジューリングをAIで勝手に自動でやると、現場のドクターとかのオペレーションが大きく変わるんですよ。患者さんにいつ手術日を伝えるかとかっていうのもAIでやっちゃうと、例えばもう金曜日に必ず伝えてくださいとかってなるんですよ。そうすると金曜日までは患者さんに手術日を伝えられなくなるんですよ。こういうことってあり得ないですよね。

しかも、最適化をして患者さんにドクターがAIの言った通りに伝えたとしても、例えば月曜日に手術が入ってしまったと、その手術がすごく負担の重たい手術で、患者さんのご家族が遠くからわざわざこっちに来るという話のときに、AIの言った通り、金曜日に伝えるので土日にいきなり用意をして月曜日に来させるってことになる。移動コストなどもある中で、できなくない?となりました。

現場のフローのところは難しく、当時はなかなか現場で使ってもらえてなくて。やっぱりプロダクトとして無理があるよねって言うところがありましたね。

 

2025年には13万人のナース不足が発生

この中で生まれたプロダクトがEpignoナースっていう製品で、ナースを退職させないっていうプロダクトです。

2025年って医療界にとって、すごく大事な年で、私の母親とかもそうなんですけど、ベビーブームの人たちがちょうど2025年に後期高齢者、75歳を迎える。

なので2025年の医療需要が本当に爆発的に増えるって言われていて、その時には医療供給をたくさん持ってなきゃいけないんですけど、ナースは今250万人ぐらい全国にいて、それが2025年には13万人ぐらいナースが不足して、医療の供給がままならないということが懸念されます。

こんな大事なナースのリソースなんですけど、ナースって75%ぐらいの方がやめたいと思っている厳しい業界なんです。

一方で病院経営の方に目を向けると、病院のコストって、人件費が60%を占めていて、結構人件費ドライブの組織なんです。60%の中でも、ナースがさらに60%を占めていて、なので全コストの35%ってナースの人件費で、どんなコストよりも大きいんですよ。なので大きなナースの人件費をいかに効率よく、しっかり要領よく働いてもらうかっていうのが大事です。これは病院経営にとってもすごく大事な話。

そんなナースなんですけど結構リアルなシーンとしては、結構評価されないとか、上司が私のこと見てくれないよねとか、私こんな頑張ってるのになんで、頑張ってない人の方が評価が良いのかとか。評価の不平等って結構やっぱりあるんですよ。

一方でナースは専門職なので、僕たち以上に一つの道を極めていく人たちなのでキャリア希望って大事で。

例えば病棟でも、今は呼吸器内科だけど来年からは循環器やりたいですみたいなキャリア希望がナースにはあるんです。病棟を辞めて、手術室にしていきたいですとか、ICUとか、集中治療室でやってみたいんですっていう人が結構いるんですけど、そういうのをなかなか病院で通してもらえないんですよね。忙しいし、そもそもあまり面談もないし。

それで、教育されてる感じも当然なくて、忙しいから皆放置されていて。病院ってマネジメントっていう概念がすごい薄くて、教育をちゃんとできていないんです。このあたりでナースの人たちって成長を感じないし、この病院ではもういいや、やめよっていうのがナースのリアルな心情ですね。

とはいえリーダーの方々って、ちゃんと自分は支援してると思ってるし、ちゃんと評価してると思ってるし、頑張ってるんですよ。だけど、なかなかうまく現場と意思疎通できてない。齟齬があって、みんな突然ある日辞めますと言う感じです。

 

 

病院のナースの退職率というのは10%から14%ぐらい、訪問看護って言われる家に行っていただく形の訪問看護師では30%から35%も辞めてしまうんですよ。

その時には時すでに遅しで、引き止められないことがよくあるんですけど、そこを自分がマネジメントできてたら、引き止められたんじゃないかと思っています。

メンバーのスキルとか、頑張りをちゃんと可視化してあげてちゃんと評価しましょうっていう点が一つ。

二つ目は今後のキャリアとか目標をしっかり上司とすり合わせながら、希望を聞いてもらいましょうと。

三つ目はもうシンプルに、病院で紙が多いんですけど、煩雑に管理するのはやめて、もっとITに任せましょうDXしましょうっていう点です。この三つが僕らの提案です。

 

プロダクトのイメージとしては、顔写真が1枚あって、そこにいろんな情報が全部載ってるという感じです。

評価とか目標とか、自分のいろんな頑張りとか、資格をどれだけ持ってるとかを全部1人1人管理をしています。一覧で全ナースが見えるようになっていてソートもすぐかけられるようになっています。

リーダーが一般の病棟でこういう資格を持った子がいるかなとか。個人個人にちゃんとスコープを当ててあげるのと、マクロで分析がしっかりできるようになっています。こういった機能があるのがうちのプロダクトです。

 

 

ー病院の中のどんな役職の人がこのプロダクトを使うんですか?

これは全員が使います

基本的には管理者がよく使うんですけど、担当の人も評価とかで自己評価しなきゃいけないんで、その時にはここで自己評価をしてもらいます。

あとは、これからやろうと思ってるのはモチベーション測定とエンゲージメントの測定機能ですね。アンケートを配って答えてもらって、モチベーションやエンゲージメントを測定する。

要はこのナースのモチベーションを上げて自分たちの頑張りとかを見てもらって、っていうプロダクトですね。

実現したいことは「ナースを絶対に辞めさせない、ナースから日本一愛される医療機関を作る」ことです。

病院向けだけではなくてうちは訪問看護向けにも展開しているので、ナースタレントマネジメントのスタンダードになりたいですね。

 

 

ここまでは看護師向けの話でエモい感じの話なんですけど、もう少しロジカルに医療経営の話を考えてみます。

例えば、100名ぐらいのナースがいる比較的小さい施設で考えると、100名のナースで退職率10%だと10人やめます。10人辞める内の給与が500万だとして、5,000万分の人件費のナースが辞めていきますと。

それでその分のナースをまた雇ってこなきゃいけないので、雇っていくんですけど、病院はほとんどエージェントに声をかけているんですよね、いろんな有名な人材紹介会社に。

だいたい20から40%ぐらいの手数料を取られます。そうする一番低く見積もっても5,000万分の20%である1,000万分ぐらいがコストとして出てきてしまいますよね。しかもそのナースたちも結構すぐにやめてしまうんです。

そういう感じで、バケツに穴がたくさんあって水がドボドボ出てるのに、たくさん水を入れても意味ないよねって話をしていて、そもそもバケツの穴をふさぐことにお金かけた方がいいんじゃないですかね、というのが僕たちの提案です。

1000万のコストを、もうちょっと削りましょう、そのためにうちに投資をしてもらえれば、1人でも2人でも辞めないだけでもペイしますよという感じです。病院にとってもすごく大事なプロダクトです。

 

 

”全ては未来の患者と家族のために”

ミッションとしては”全ては未来の患者と家族のために”を掲げています。

僕たちがやろうとしてることはナースのHRだけではなく、今後多くの戦略を考えて、いろんなことをやりたいなと思っています。

ただ全てのプロダクトの矛先は自分たちの子供とか孫が今の世界一のクオリティを誇る日本の医療をずっと享受できる世界であり続けたいというところにあります。

このためには医療機関の経営だってもっと良くしなきゃいけないし、働いてる人たちの働き方も変えないといけないし、もっと医療に集中できるサステイナブルな環境を作っていかないといけない。

そういう世界をテクノロジーを通して作っていきたいですね。未来の患者と家族の人たちが常に日本で医療を受けられる国にしていきたいっていうのを、自分たちのミッションでやっています。

 

 

医療業界ならではの苦労と顧客の声

ーナースの評価要素やインターフェイスなどはどのように開発したのですか?

プロダクトつくりとしては、うちに医療従事者がメンバーとしているので、メディカルチームっていうチームっていうのをつくっているんですけど、メディカルチームが基本的には主体となって画面の仕様、UIやUXと考えてるっていうのがもともとですね。

当然それだけでは足りないので、お客さんへプレゼンにいって採用しなくてもいいから、意見くださいみたいのはやりました。

看護師の人たちに話を聞くって感じで、例えば部長クラスとか看護師長クラスって管理者なんですけど、どういう機能欲しいですかとか、この画面でこんな感じでいいですかねとかは聞きますね。

具体的に言うと、クリニカルラダーっていう看護協会が定めてる看護師のレベルが1から5まであります。5が最高です。クリニカルラダーってどの病院も医療安全上管理をしようという話をしていて毎年頑張ってやってるんです。

これの可視化をしてるグラフみたいなところはまさにうちのお客さんの看護師長から言われたことで、一人一人が2とか3って見えるだけでは不十分で、院内でどのようにクリニカルラダーが分布してるのか、そして誰がこれを持ってるのかっていうのが見えるからこそ意味がある、全体最適ができるっていう意見をもらったんですね。その時に病院全体で1から5までがどれだけ分布しているのかっていうグラフと、病棟ごとにリスト化して、顔と人数、この病棟にはクリニカルラダーの人が何人居ますなど、ばらつきが見えて、というこの機能はまさにお客さんからいただいたものですね。

 

 

ー医療機関への営業などは、もちろんメンバーのコネクションもあるともいますが、今後さらに拡大していく中でどのように進めていくのでしょうか?

そこはすごくいい観点で。医療機関ってすごくレガシーな環境でZoomとかが中々浸透しにくいんです。ただ、今は新型コロナで結構状況が変わったので、リアルと非リアルを交えて展開していますね。

これからはマーケティングもかなりいろいろしかけていて、レバレッジを利かせるような形で、いろんな病院に認知を高めてもらう活動をしています。あとは、具体的なセールス活動としてはもう代理店契約ですね。看護師とかのソリューションをやっている会社さんにうちの製品を売ってもらうというところですね。

ー医療ベンチャー特有の苦労はありますか?

やりにくいことで言うと、まず一つはユーザーのITインフラの整備度合いはありますね。病院では1人1台端末を持ってないですし、セキュリティ上インターネットにつながらない端末が多いですし、ナースも1人1つのアドレスを持っていないとか。まず、パソコンをあまり使わないんですよね。その中でITツールをご利用頂くのが難しいですね。

なので、あまり無理にDXしすぎないようにはしています。やっぱりいい意味で、紙とかアナログを運用上残してあげるとかっていうところは大事です。

あとは、UIをいかに洗練させるかが大事だと思っています。紙ではできないこと、煩雑だったことで、Excelでも面倒なことが、ここだと実現できる。それぐらいが一番いいと思ってて。

あまりに、コックピットプロダクトみたいな、ボタンがいっぱいあって、機能がいっぱいあってみたい感じはあまり良くなくって。やっぱりいかにシンプルに、紙よりこっちの方が楽じゃんって思わせてあげるUIはすごく大事です。画面の切り替えをシンプルにしたりとか、資格とかも簡単に選択できるようしたりして工夫しています。

いろんな電子カルテのシステムとか見るとめちゃくちゃ難しいんですよ。めちゃくちゃなところにボタンがあって、いろんなUIが混雑してるんですけど、うちはもっとシンプルに、直感的に入れられるだけに誘導しています。ここはうちのエンジニアもすごく気にしているところですね。

ー2月末に資金調達を2回目のラウンドでされたと思うのですが、資金調達の話も伺えますか?

一番初めはライフタイムベンチャーズの木村さんのところですね。当時はまだ、IF ライフタイムベンチャーズでした。そこに1500万投資をしてもらったのが始まりで、そこからずっと木村さんと伴走しながら頑張っていました。

それで、今の事業にピボットしたぐらいの時期に、東北大学ベンチャー認定されているということもあり東北大学ベンチャーパートナーズ(THVP)をリードで資金調達をしました。

シードの時期はプロダクトもないですし言い方はあれですけど気合いって感じでした(笑)。もう投資してくれたら頑張ります、行けます、みたいな。

ただ、シリーズAになってくるともう少しカチッとしてきます。元々THVPさんはうちに投資したいという話がありました。他のVCさんをどうやって探してきたかっていうと、サイバーエージェントキャピタルさんのマンスリーピッチに木村さんを通じて出さしてもらって、そこでかなりのフィードバックが来たので、そこに営業的なプレゼンをしに行って決まった感じですね。

ー起業家にとって良いVCとはどんなVCですか?

1つはコンストラクティブな議論ができるVCが良いですね。突飛なことを思いつくままに議論するのではなく、今やるべきことをリソースを考えながら議論できること。

後は、シンプルですけど、できることを一緒に考えてくれて、並走してくれるVCは最高に良いですね、勇気付けてくれるというか。人を紹介してくれたりとか、お客さん紹介してくれるとか、他のVCを紹介してくれるとか。そういうのを本当に実力のあるVCはやってくれるなと感じます。

 

医療業界にしかない感動

ーこれまでエピグノをやってきて本当にやってよかったなという具体的なエピソードや、これからどう医療業界を変えていきたいかというビジョンがあれば教えてください!

この医療という世界でスタートアップをしてよかったなあと思ったことは、他の産業と比べてやっぱり医療ってすごく崇高だと思うんですよね。すごくエモい業界だと思っていて、生死に関わるところとか、病気を治療するとか。

先日のブルーインパルスが飛んだときにみんな感動するのと一緒で、医療にはああいうのが論理的に説明できない感動があると思うんですよね。

ブルーインパルスのときにすごい嬉しかったのは、ビジネススクールの同級生で会社経営をしている女の子がいるんですけど、医療従事者へ感謝を届けたいってことで、自社製品のレトルトパック製品を、無償で医療従事者に配る活動していたんですよ。

凄い数を配ってるんですけど、その子がエピグノの乾さんの会社も医療従事者向けに貢献されているから是非製品を寄贈させてくれないかという話があって寄贈してもらいました。損得勘定や利害など関係無しに人の心を動かすというか、こういう感動がやっぱり医療にはあるなと思って。

あとは僕たちのプロジェクトは直接患者さんのケアに繋がらないんですけど、将来的にやりたいと思ってることが、医療データを繋げたいと思っていて。

医療データってすごくバラバラなんですよ、よく一般的にスパゲティシステムと言われてるんですけど。もうこんがらがってて色んなベンダーが自分たちの仕様で勝手に作っちゃってるんで、システム同士の連携とかが全くできないようになってるんですね。それでシステム同士の連携をしようとすると、ベンダーとしては当然嫌がるので、結構高い接続料が掛かってしまって、なかなか進まないっていうのが医療界の現状です。

僕たちはそこを繋ぎたいと思っていて。例えば、とある国立大学病院で繋げて新しいことができたんです。何をやったかっていうと、オペ室の手術のスケジュールのデータとオペ看(オペ室の看護師)の人たちのスキル情報を紐付けてあげると、オペ看の人たちのスキルとかをもとに手術へのオペナースの割り振りが自動でできるようになるったんです。

今まで手術ってどのナースがつくかって全部人が手でやってたんです。この人ってこういうことできるよねとか、エクセルとかすごい紙とかスキル表を見て。それを繋げて自動でできるようになったことで医療従事者の業務負担を大きく軽減できました。

それはデータを連携させたことの一つの価値だと思っています。こういうことを病院に入っている色んなシステムに入れることで今までできなかったことができるようになるんですよ。

それって患者さんへのケアのクオリティーが上がることでもあるし、医療従事者の人たちの無駄な時間を削減して直接ケアに充てられることになる。

また、医療に集中してあげる環境を作ることにもなって。医療の安全性を高めることにもなる。そういうことを将来的にやっていきたいなと思っています。

医療システムのアメーバみたいなイメージですね。私達は直接的に治療には関わらないけど、そこに立ち向かっている医療従事者や研究者、医療機関を自分たちのシステムで支えられるとか、将来にわたって残していけるっていうのは、やっぱ他の産業にはない感動だなとは思いますね。

 

コロナで病院のDXが進む

ー今回のコロナの影響はありましたか?

この影響でいうと、ヘルスケア関係がとても悪い意味で影響を受けてて。病院、医療機関が全て外部のベンダーとの接触をも断絶してるので営業に行けないんですよね。なので、結構つらい。一部の病院はZoomとかで対応してくれるところもありますけど、基本営業がもう止まっちゃったっていうのが、コロナの一番大きな影響ですね。

それに伴ってですけど、良い事としてはちょっとずつ病院もDXが進んできましたね。おそらく1年後ぐらいは、もうちょっと進む機運が出来てるんじゃないかな。やっぱり非対面でとか、おうちでワークするとか、もうちょっとIT使おうよみたいな流れが来るんじゃないかなとは思ってます。

そういう意味では追い風が後々来るかなと思っています。長期的には医療界もITがもう少し進むんじゃないかな。

ビジネスとして具体的に何をやったかっていうと、やっぱりもう強烈にコストダウンはやってます。人件費の削減や、なるべく自分たちでできることは全て自分たちでするようにしたりだとか。家賃の交渉もしましたし、常にコストは切り詰めてやりましたね。融資の申請とかもガンガンやってますよ。

ー最後にIVSに参加される際に期待することや意気込みなどをお願いします!

IVSは日本でも最大のスタートイベントトップだと思ってます。僕の知り合いもよく出ています。

一つは、いい仲間と知り合いたいですね。仲間っていうのは僕は起業家がいいなと思ってて。産業は違えどスタートアップっていっぱい共通した苦労をしているところがたくさんあるし、そういう人たちと知り合いたいなあと思っています。あと一つはVCですかねやっぱり。VCの方とたくさん知り合いたいです。

ースタートアップのイベントにはよく参加されるんですか?

いや、うちは医療バーティカルなので、そこまで色々なイベントに積極的には出ていないですね。ホリゾンタル系の方とかは他業界の人と知り合うのも価値があると思うんですけどバーティカルは必ずしもそうではないなと。でもIVSさんは流石に桁違いレベルのイベントなんで、IVSさんには積極的に行きたいと思っています。

ー本日はありがとうございました!

 

ーエピグノのHPや採用情報はこちらから!

株式会社エピグノ
会社・事業紹介:ナース向けタレントマネジメントシステムを提供しています。ナースの退職は日本の未来にとって絶対に解決しなければならない課題です。私達はそんな社会的課題に対して、医療界には無かったタレントマネジメントという新たな視点で解決していきます!

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取材・編集 : 西島伊佐武 / ローランド・ノエル