【クレディ・テック株式会社】IVSをきっかけに大きくピボット!?身近な経験のシェアリングサービス「tipswap」

2020.09.16

クレディ・テック株式会社
代表取締役 村上年範氏

クレディ・テック株式会社代表取締役。信頼に値するテクノロジーの力で社会における「個」の力を引き出し、「活躍の機会」を創出することを理念として掲げる。

ボディケアサロンの経営で培った知見を強みに、2020年上旬、日本最大級のボディケアネットワークサービス「みんなのせいたい」をリリース。これを機に本格的にIT事業に参入。

2020年下旬には、「1億総フリーランス社会」を見据えた新サービス、スキマ時間をつかった経験シェアリングサービス「tipswap(ティップスワップ)」をリリース予定。

 

ITサービスで、「個」の力を引き出す

ーまず、現在のサービス展開を教えてください。

出張整体サービスのマッチングプラットフォーム「みんなのせいたい」を2020年5月にローンチしたのち、現在は、日常のあらゆる知見やヒントをシェアする、教える人と教えられる人のマッチングプラットフォーム「tipswap」を開発中です。

ヘルスケアに特化したサービスと、全方位型のナレッジシェアサービス、一見まったく違う方向に舵を切ったかのように見えますが、根底にある理念は一貫していて、どちらのサービスも、ITを通じて「個」の力を引き出すことが私たちの事業理念でありサービス目的です。

ーそれぞれ、サービスの成り立ちと詳細を教えてください。

まず「みんなのせいたい」は、フリーランスや業務委託で働く個人整体師と、ご自宅などでの出張整体を希望する利用者を結ぶサービスとして開発されました。

その背景には、整体業界が抱える「負」があったんです。

 

出張整体マッチングプラットフォーム「みんなのせいたい」

実は、クレディ・テック社は創業以来8年間、整体サロン経営を行っており、現在も八王子に2店舗経営しています。そんな私たちだからこそ見えている、業界の現実がありました。

まず、整体業界は店舗型サービスが主流ですが、家賃・人件費・販管費が経営を圧迫し、粗利10%という厳しい現実を抱えたお店が殆どです。

そのためセラピストたちの給料も少なく、かつ正社員で雇われている人も少なく、実は90%が業務委託という驚きの実態があります。

整体師は少しでも働く以外に収入アップの方法がなく、どんどん労働集約型になります。しかも、業務委託の場合、施術料の大体55%がお店に取られ、45%がセラピストに払われるという構造になっており、働いた分すらも十分に還元されていないわけです。

一方で、利用者の目線に立ってみると、高齢者・妊婦さん・在宅ワーカーといった、整体のニーズを抱える人ほど、店舗には通いづらいのが実情です。

こうなるともう、「店舗型ビジネスモデルは、一体誰のために存在しているのだろう?」と思わざるをえません。

そこで、ご自宅で整体を利用したいというニーズを抱える人々と、業務委託で働く整体師をマッチングするサービス「みんなのせいたい」の立ち上げを決意しました。

ー「みんなのせいたい」の狙う市場と、強みについて教えてください。

ボディケア業界は、現在およそ50万人の就業者がいると言われています。その90%にあたる45万人が業務委託で働いています。

市場規模で言うと、国内ボディケア業界全体で1兆円と言われています。そのうち、1%でも取ることが出来れば莫大な市場です。整体にしぼっても半分の5000億の市場になります。

オンラインでのマッチングサービスということで、登録整体師の全員面談・本人確認の徹底、決済代行機能の完備、万が一に備えた共済会設立と整体師の全員加盟など、利用者の方々に安心・安全にお使いいただくための体制が整備されています。

また、事故やハラスメントを防ぐため施術を録画する「オンカメ施術」、整体師一人ひとりの技術力を見える化する「ダイナミックプライシング」など、追加機能も予定しています。

更に、アフターコロナを見据えた取り組みとして、ビデオ通話を介して整体師からセルフ整体を学べる「リモート整体」という新機能も予定していました。

 

Launch Padの予選敗退をきっかけにピボットを決意

ーその後、どのようにサービスを磨き込まれたのでしょうか?

Launch Padの予選では、誕生したばかりの「みんなのせいたい」についてプレゼンしたのですが、頂いた評価は実に厳しいものでした。この体験が、ビジネスモデルを見直す大きなきっかけになりました。

頂いたフィードバックを元に振り返ってみると、いろいろな課題が見つかりました。

まず、ご自宅でCtoCのサービスを受けるのは心理的ハードルが想定以上に高かったこと。また、若者を中心とする整体を受けたことのない人たち、つまりニューマーケットを取り込めなければ、新規ITサービスがスケールするのは困難だということ。

思えば、私たちは自ら整体サロンを経営していたことから、事業および働く側の目線に立った理解や想いは強かったかもしれませんが、ITサービス開発に必要なマーケットインの視点が欠けていたように思います。

特に、今回のIVSの「最高のプロダクトの創り方」というセッションでそのことを痛感し、ここから一気にユーザー目線に振り切ったサービス開発へと舵を切りました。

具体的に、「みんなのせいたい」に関して言えば、オープンなマッチングプラットフォームという位置づけから、「自社で出張整体の依頼を請け負い、自社の整体師を出張させる」サービスへとピボットしました。

フリーランスの整体師がご自宅に来ることへの心理的ハードルが理解できたので、「みんなのせいたい」に登録いただいた整体師のうち、面談を経て「公式バディ」というクレディ・テック社の一員となった整体師だけを派遣する仕組みに変えました。

クレディ・テック社がフロントに立つことで、福利厚生としての導入やデイサービスの介護福祉事業者の方々との提携も実現します。何より、利用者の方々に安心・手軽にご利用いただけることが最もサービス拡大に繋がります。

直近で福利厚生として導入した企業では、社員の方は1000円の自己負担で30分の施術を受けられるようになり、受付開始の直後から予約が殺到。即日で40枠すべて埋まってしまうほどの人気でした。

PR TIMESより

 

経験・知見をシェアするプラットフォーム「tipswap」誕生へ

ユーザー目線に振り切ったことで、更なる大きな事業変化が起こりました。

ビデオ通話でセルフ整体を学べる「リモート整体」について議論していた時、「この機能って、なにも整体に限定しなくても良いのでは?」という意見が出たのです。

アフターコロナの時代を見据え、「日常で起こる様々な出来事について、非対面・オンライン・リモートでの解決が求められるようになる」という考えに立った時、サービスの対象領域が一気に拡大したのです。

こうして、「すべての領域について、教える人と教えられる人がオンラインでマッチングする仕組み」をつくることになりました。これが、現在開発中の新サービス「tipswap」であり、11月半ばのローンチを予定しています。

tips(ティップス)とはヒントという意味でswapが交換という意味です。つまり、日常のちょっとした経験や知識をお互いに交換・共有するサービスです。

教える人の専門性のハードルはかなり低くしており、ちょっとした知見や経験があれば誰でも教える側に回ることができます。

たとえば結婚、出産、育児、恋愛、料理、掃除、DIY、趣味、スポーツ、勉強、仕事など、生活の中で培った経験や知識をシェアし、換金できる仕組みです。

ナレッジシェアサービスというと競合も多く、ココナラさんやランサーズさんが思い浮かびますが、そういったサービスよりも敷居が低く、専門的な知識は必要なく身近なライフイベント・ライフサイクルに特化した知識共有のポジションを取ろうと思っています。

「みんなのせいたい」開発時に整備した、即時予約、ストリーミング機能、決済機能など優れたUI/UXを活かせることも強みです。

ー「tipswap」ローンチに向けて現在どのように開発を進めていますか?

9月に「tipswap」のティザーサイトを公開します。それによって事前登録者を集め、ローンチまでに一定のマーケティングを終えておくのが理想です。「みんなのせいたい」ではそこまでやりきれていませんでした。

また、今回はGoogleやYahooでの広告には頼らず、SNSを中心に集客・拡散していきます。ユーザー目線に立ったサービスが出来ていれば、若者を中心とした市場が自然と拡散してくれると思うので、ローンチ前に1000人~2000人の登録者を集め、良いスタートを切ることが出来ればと思っています。

ー資金調達についてはどのように考えていますか?

現状は全てデットで調達しています。資金調達の話題はテック界隈では特に頻繁に聞きますが、エクイティ戦略については疑問に思うことも正直あります。

私の場合、サービス開発初期はエクイティではなくデットでの調達で事業を展開しています。現状の財務状況で金融機関も融資をして頂ける状況なので、現状は出資よりもまずは借入でと考えています。

もちろん、事業や理念においてシナジーがある企業や理念を理解して頂ける個人投資家と出会えたならば出資を受けたいとは思っていますし、ある程度のレベルになったらVCからの資金調達も考えています。

ー今後のビジョンや展望を教えてください。

「みんなのせいたい」は、コツコツと3年くらいかけて成長させていき、大阪、名古屋、福岡、札幌などの首都圏にも進出していくロードマップを考えています。

アフターコロナの時代背景的に、今、注力すべきは「tipswap」の方で、11月にローンチ予定ですが、来年1年間で1万人の会員数を確保できれば事業としては黒字化する試算になっているので、そこを目指します。その後は、3年目以降くらいのイメージでVCにも入れていただける規模になれたらと思っています。順調に育てられたら、エクイティファイナンスだけではなくてバイアウトも含めてエグジットを考えていきます。

ーLaunch Padの予選にも参加して頂きましたが、最後に、今回のIVSを通じての感想を教えてください。

今回は最後まで残ることは出来ませんでしたが、予選でピッチの機会をいただけたことは大変感謝しています。時節柄オンラインでの開催でしたが、非常に著名なIT企業の方々が登壇されていたことも、経営者として刺激になりました。

ピッチの準備は、事業や組織を見直す良いきっかけになりました。自分達の強みや、これから考えるべき事を再認識できたので、非常に良かったと思っています。

ちょうど事業を見つめなおしていた時期でもあり、審査員の方々からは辛辣なお言葉もいただきましたが、あの体験があったから、もう一度事業を練り直し、新しい事業を生むことも出来たのだと思います。

「最高のプロダクトの創り方」セッションをはじめ、今後のサービス開発にあたって何よりも「ユーザー目線に振り切る」という大方針を得られた貴重な体験となりました。この学びの価値は、「tipswap」「みんなのせいたい」両サービスを通じてユーザーの皆様に還元していきたいと思います。

ーありがとうございました!

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取材・編集 : 西島伊佐武