【株式会社coco】店舗支援SaaS/口コミで顧客体験の向上を!

2020.07.24

 

高橋俊介氏

店舗向けオンライン集客プラットホームを運営している、株式会社coco代表取締役CEO高橋俊介氏。2013年1月に株式会社cocoを創業して以来、様々なサービスやアプリを開発・リリース。

 

学生団体を通じて起業に興味を持つ

ー起業しようと思ったきっかけやファーストステップについて教えてください。

今は会社が8期目で、実は会社を作ったのは学生の時なんです。学生の時は最初から起業に興味があったわけではなかったんですけど、当時在籍していたアイセックという学生団体で起業家に会うことが多くて、そのときに起業家っていいなって思いました。その後IT企業で働かせてもらって、春休みとかはほとんど家に引きこもってプログラミングの勉強をしていました。それで自分でプロダクトを作って会社を作ったのが大学の4年目っていう感じですね。

ーアイセックではどのような活動をしたのですか?また、何か印象に残っていることはありますか?

アイセックは海外インターンシップの仲介をする学生が運営をしているNPO法人で、海外にも支部があって、例えば、ベトナム支部のメンバーとやり取りをしながらベトナムの学生を日本でインターンをしてもらったりとか、逆に日本の学生にベトナムでインターンをしてもらったりしました。そのために、ベトナム人を日本でインターンさせてもらえないかと言う営業を実際に日本の企業にスーツを着てやっていたんですね。その中で、IT企業とのやり取りがたくさんあったっていう感じですね。

印象に残っているのは、クラウドワークスの吉田さんが最近ネタにされているメンズスカートをやっているに時に、実は学生の時に会ったんですね。吉田さんは当時ベトナムで色々やっていて、ベトナムに行く日本人向けのセミナーもやっていて、営業にならないかなと思って行ってみて、「この夏、アイセックの活動でベトナムに行きます。」と話すと、じゃあ現地で合わないかという話になりベトナムで吉田さんに会いました。それで、ごはん連れて行ってもらったりとかアパレルショップに行ったりしましたね。その時はクラウドワークスを始める前で正直何をやっているかわからなかったんですけど、なんか元気なおじさんだなと(笑)
そしたら、その翌年にクラウドワークスを立ち上げてすごい有名になったと聞いて、「あの吉田さんがすごい活躍してる!」と思ったのは刺激的で印象に残ってますね。

 

即決でアメリカへ調査旅

ー起業をしてから、現在のプロダクトにたどり着くまでにたくさんの紆余曲折があったと思いますが教えていただけますか?

最初、学生にありがちなスマホの写真共有アプリを作ったんですけど全くダウンロードもされず、お金にもなりませんでした。なので、最初にやったのは全然だめで解散して、すぐにやめました。そのことをブログに書いたら炎上しましたね。

そのあとはプログラムが書けたので受託とかをしてて。最初の頃は価格の相場もわからず、また、しっかりとした仕事ができるかも不安だったので、月フル稼働で20万円とかでお仕事を頂きながら、何とか食いつなぎながらやっていたのが最初の5年です。

詳しくいうと、シードアクセラレーターに採択され、そこでシードマネーの調達をしました。そこで、写真共有とか、色んな挑戦をしてその資金が尽きたときに2,3年受託をしていたってかんじですね。

でも、実は受託ってすごい勉強になるんですよ。僕は非常にいい経験だと思っていて、色んな仕事の仕方が分かったし、プログラムも詳しくなったし、いろんな業界、例えばホテル業界などをみたりと、とても良い社会勉強になりました。

また、当時はとにかく生き延びる事に精一杯でとにかく稼がないといけなかったので、民泊などに関する規制が緩かったため、それで稼いだりしていました。自分の家をAirbnbに出して、自分は会社で寝泊まりとかしていました。

その後、今から3年くらい前に受託とかもやっていく中で自信とかもついきて、もう一度挑戦したいと思ってきたときに、たまたまコードリパブリックというシードアクセラレーターに採択してもらって今のサービスの着想に至りました。

バタラさんとか堀さんに、「自分で考えすぎてしまうと、アイデアが小さくなりがちだから、とりあえず海外の事例調査からやったほうがいいのではないか。」というアドバイスを頂きました。

その時は、僕も後がないと思っていたので素直に聞き入れてクランチベースを見まくってアメリカのPodiumというサービスを見つけて。実際にCEOに会いにアメリカにも行ったんですけど、それが今運営しているcocoの原型となったモデルである、口コミを集めるサービスでした。

何故口コミ集めサービスが良いと思ったかというと、以前運営していた民泊では絶対に来る人に会うようにしていて、直接会うとすごいいい口コミを書いてくれるんですね。良い口コミが集まるとやっぱりお客さんちゃんと来るし、値段も保てていて。実は口コミの原体験が結構あったんです。

依頼するとお金を払わなくても口コミを書いてもらえるとか。対面した相手に好感があると、宿泊所が微妙でも口コミって良くなるとか、色々感じていました。これが3年前のことで、今では無料店舗も含めて2000店舗に利用して頂いています。

―アメリカまで実際に聞きに行く人はなかなかいないですよね!

調査をしていてPodiumがすごくいいサービスだと思ったので、これをやろうとバタラさん、堀さんに相談したら「聞いてくればいいんじゃないの?」とアドバイスを頂きました。本当にいくとは思ってなかったらしいんですけど(笑) 

でもその時に、「確かに。」と思ってその場で飛行機をとって、Twitterでメッセージを送ると、OKしてくれて。「すごく良いサービスだと思うから、日本でやりたい。」と伝えて、なぜこのサービスを始めたとか、何が大変だったかとか、どうすれば伸びるとかを一通り聞きました。彼の場合は、実家で小さなお店をやっていて、実家で使えるツールを作ろうと思って作ったと言っていました。

ただ、話を聞いていく中で、当時はその領域の知識が全くなく、色々言われた一方で本当にそうなのかと思ってしまうところがあって、正しいとは思いつつも確信ができていませんでした。結局地道に自分で売りにいって、つくって、確かめて、ということを繰り返していく中で言われたことを「そういうことだったのか。」とだんだんと理解していきました。なので、直接そのままマネできたことって実はあんまりなくて。着想をもとにやってみた結果、初めて彼が何を言っていたのかがやっと理解できた感じですね。

 

当時の高橋さんのツイート

 

ー自分と同じサービスをやりたいという人と話してくれるなんて心の広いCEOだと思うのですが、どんな方でしたか?

優しい人でした。あと、今でこそPodiumは時価総額すごいんですけど、当時はまだそこまでいっていなくて。僕が日本でPodiumすごいって言っても周りの人は「へぇ~」って感じでした。最近、ようやく注目され始めました。

今ではメッセージ、返してくれないです(笑) 最後とかあまりにも色々聞きすぎて、営業資料とか全部もらおうとしたらさすがにダメだといわれました(笑)

まあでも、「同じのやっても俺達には勝てないよ。」って感じではありました。「うちの日本支社になってくれよ。」みたいにも言われました。

ー複数のアクセラレーションプログラムを経験されていますが、そのメリットデメリット、向いている人向いていない人など感じたことはありますか?

2つも経験すると、すごいあるんですけど(笑)

言いづらいんですけど、正直1回目の時は失敗だったんですね。当時のアクセラレータが悪かったとかではなく僕が未熟でその機会を活用しきれませんでした。一方で、コードリパブリックはその時の反省を活かせた方だと思っています。

3か月とかのプログラムだと相手がパートナーみたいな共同創業者のような感じでやることになります。なので、きちんと話を合わせて、情報も提供して、自分の意見を伝えて相手の意見を聞き入れることが必要になります。

それが学生にとっては難しいと思っていて。ある意味のサラリーマン力が必要。僕が最初のアクセラレータにいたときは学生の時だったんですけど、もっと好きにやりたくなるじゃないですか。「なんでそんな言われなきゃいけないんだ。」みたいな。

今思うと超妥当なアドバイスを頂いていたんですけど、当時はやっぱりわからなかったんです。そうすると、自分の仮説を試したくなっちゃうし、我慢もできないし双方にフラストレーションが溜まってすごい大変なんです。

なので、起業家は多少納得がいかなくても、相手のアドバイスもきっと正しいはずと思って、一度やってみるとか、そういう社会人力がメンタリングなどの機会を生かすには必要なんですね。特に学生で起業する人っていうこときかないじゃないですか。だから、周りも大変そうで、起業家も反抗した割にはうまくいかないとか、そういうこともあったような気がしますね。

 

お店とお客さんのコミュニケーションをスムーズに

ープロダクトについての説明を改めてお願いします。

カーディーラー、不動産、医療機関などの単価が高めのサービス業向けのSaaSのプロダクトです。単価はだいたい店舗当たり数万円です。何ができるかというと、口コミのお願いをお客さんにできてお客さんから口コミを集められたり、アンケートの依頼ができたり、チャットができたりとかっていう、お店とお客さんのコミュニケーションをスムーズにできるようにする機能を提供しているプロダクトです。それによって口コミが今までにないくらい集まって、Googleマップの口コミに影響があるので、お客さんが増やすことができたりします。また、普通メール配信でアンケート依頼をしても数%の返答率ですが、cocoだと90%のアンケートが集められて集計も自動なので管理も楽になります。

ー導入している企業数はどれほどですか?

無料版も含めて2000ほどになります。

ー配信ツールとして様々な選択肢がある中で、SMSを選んだ理由はなんでしょうか?

SMSはやっぱり便利でいいです。LINEとかは一見便利にみえますが登録が必要だし、一度つながるとずっとメッセージがきますよね。お店のアプリにしても、年に数回お店に行く機会にしか興味をもつタイミングがないのに、お店のアプリを何個もインストールしてずっとつながっている必要って全くないんですよね。そのお店のことが嫌いじゃなくても、ずっとメッセージが来続けるのはダルいです。その点、ショートメールはまず登録なしで送れます。電話番号がない人なんて今の時代いませんから。しかも、やり取りがその場限りで終わる。余計な情報のやり取りもないので非常にシンプルです。例えばLINEだと顔写真とかプライベートな情報が余計に伝わっちゃうんですが、そういうことが一切ない。昔だと電話番号はザ・個人情報って感じだったと思うんですけど、今は携帯番号は実は色んな手続きで使われている一方、逆にプライベートで使われなくなっていて、マイナンバーに近い役割になってきているんですね。そういう状況で、携帯番号を外に公開することへの抵抗って実は最近弱くなってきているんです。だからショートメールはパブリックなコミュニケーションに適したチャネルだなと思っています。

ーcocoを立ち上げる際、様々な企業や顧客のニーズの調査にあたって、どのようにヒアリングを行いましたか?

Cocoを立ち上げる時、コードリパブリックで海外事例をみて考えるように言われたんですが、やっぱり軸は自分の中にあったほうがいいだろうとは思っていて、その軸に「行きつけの整体師さんが使ってくれるようなサービスにしよう」というのが最初にあったんですね。なので、最初はその人にしか話を聞いていませんでした。これは今でもいい判断だったと思っていて、なぜかというと、その整体師さんは業界の中でもカリスマ的存在だったのですが、イケてる人が使うツールはおそらく他の人もつかうし、イケてる人が使うツールには何かしら競合優位性があるからです。
初期はそんな感じで、それから実はヒアリングとかはあまりしてません。お店側は集客できるツールなら使うし、使うイメージがあまりわかない状態でオペレーションにハマるかどうかを考えるのも難しいので、事前のヒアリングに凝るならさっさとプロトタイプをつくって使ってもらうのが早いんじゃないかと思います。先ほどの話だと、僕は彼に「こういうのがあったらどうか」とまず海外事例をみせて、反応が良かったので3日くらいで彼専用に超簡単なプロトタイプをつくり、使ってもらったらうまくいっちゃったんですよね(笑) 口コミが増えて、予約が埋まってワーっとお客さんが増えて、、、僕が行けなくなりました(笑) 彼が広めてくれてからは、お客さんの声をある程度聞きながら改善してきました

ーヒアリングの対象としてサービスを導入したお店側と口コミを書いてくれるお客様側の二方向あると思いますが、口コミを書いてくれるお客様からのヒアリングについて聞かせてください。

口コミを書いてくれるお客様からのヒアリングもしたのですが、特に大きな問題は見つからず、それで仕様が変わることはほとんどありませんでした。結局お店の人が一番お店をみているので、お店の人の意見を聞けば十分なのではないかと思っています。

ープロトタイプをつくってからの営業はどのようにしましたか?

あらゆる手を尽くしながらやりました。そもそも店舗の人へのリーチが難しいし、WebやITを活用しようという提案も難しかったです。

ーITに詳しくない顧客もいる中で、どのようにUI/UXを改善してきたか教えてください。

誰を一番大事な顧客とするか、という部分を大事にしながらやってきました。SaaSは色んなところから色んな意見が届くので、どの声を拾ってどの声を無視するかという選択が大事だと思います。自分たちは、cocoが理想とする価値観を最も体現していて、なおかつ満足度が最も高い顧客を最優先に設定しています。データとかをみてればよく分かるんですが、そういうお客さんが最も利害が一致しているのだと思います。そういうお客さんを選択して、そこだけを聞くようにしています。

ー次に、複数のラウンドで資金調達をされていると思うので、その経緯についてもお話を伺いたいです。

一番最初の資金調達は、炎上したブログにエンジェル投資家の方がコメントしてきてくれたのがキッカケで決まりました(笑) 。あとはコードリパブリックだったりと、正面突破してきた感じです。シードの時はそこまで資金調達のために色んな会社を回ったりはしませんでした。直近ではそこそこ回っています。

ーVCの方と話すときと、事業会社の方と話すときとで気をつけていることはありますか?

あります。VCの方と話すときは企業の話や海外事例を話すようにしていて、事業会社さんと話すときは「顧客がどう喜んでくれている」かについて一番話します。

ー最近ではEast VenturesさんやYJキャピタルさんなどから投資をうけていらっしゃると思います。有名なVCから出資を受けると事業がやりやすくなると思われますが、肌感覚でそのあたりはどう感じていらっしゃいますか?

例えば直近だと、融資獲得については明確にプラスだったと思います。一番見られるのはそこではないので、あくまでプラスアルファですが。

店舗さんとのやりとりでいえば、VCの名前を具体的に出しても伝わらないことが多いので、どちらかというと「Yahoo!の投資部門から投資を受けている」といってYahoo!のロゴを資料に大きく載せたりはしてますね(笑) 権威付けに役立っていると思います。

ー起業家の方から見て、良いVCとはどんなVCですか?

難しいですが、「起業家を信頼する」というのがカルチャーとして根付いてるVCさんはすてきだなと思います。こちらのことを100%信用してくれるのでレベルの違う安心感があります。こちらとしても気が楽なので、遊びや飲み会とかにも誘いやすかったりします(笑) だからこそネガティブなことも話せるし、やっぱり信頼してくれない人と長期で仕事したいかといわれたら微妙ですよね。

 

cocoを導入し、シームレスな接客を

ーこれまでを振り返って良かったことや、今後の展望・ビジョンを教えてください。

良かったことは、自社のサービスによって導入先に本当の意味での顧客志向が根付き始めたことですね。cocoは「Google mapについてしまった悪い口コミの影響を薄めたい」という理由で導入されることがあるのですが、cocoの導入をきっかけに形骸化していたお客様へのアンケートなどもしっかり運用できるようになり、結果、店舗スタッフが接客に向き合い始めて実際にクレームが減るということも多いです。

ホームページにも「顧客志向は当たり前」ということを書いているのですが、ツールの導入をきっかけに、接客をよくすることでお店の売上も上げていくというような本物の顧客志向が実際に体現されていったのはとても良かったと思います。デジタルシフトによってサービスのクオリティが上がる分かりやすい例だと思いますし、自分でも「本当にこうなるんだ」と驚いてしまいました(笑) 

お客さんに向き合わなきゃいけないとは皆思っていたけどそれが出来ていなかったのは方法がなかったからで、手段さえ提供すれば変わり始めるということが分かったのも大きいですね。本質的な変化が起こせたという意味で、これは一番嬉しかったことです。

将来の展望の話でいうと、最近もう一つ嬉しかったのは、店舗スタッフが接客中にスマホを持つようになったことなんです。アップルストアとかってお店の人がスマホ使いこなしててすごくシームレスな接客をしてくれるんですが、普通のお店だと「パソコン?誰かやってくれー!」って感じだと思うんです(笑) 

普通のお店の店員さんがスマホを使い始めたのは、現場のデジタル活用によって現場が良くなるのが見え始めたということで、現場でスマホを当たり前に使うことで生産性を高めていき、それによってお客さんがもっと良いサービスを受けられるようになるという流れを実現していきたいと考えています。

 

ーコロナショックによってなにか影響はありましたか?

事業に関していえば、うちはお店向けのサービスなのでわかりやすくありました。4月・5月は何割とかの勢いで売上が落ちましたが、飲食店の導入先は少なく、元々あんまり密ではない導入先が多いのでもう売上は元に戻りました。営業してないお店から利用料を取るわけにはいかないのでやはり売上は落ちてしまいましたが、回復は思いのほか早かったです。

運営については以前からかなりリモートだったのでほとんど変わってないです。自分が一人だけオフィスにいることも多く、元々地方のクライアントとはZoomを使っていました。たまにみんなで集まってボードゲームやるのができなったくらいですが、それも今はZoomでボードゲームやりはじめているので(笑)

とはいえ、4月の段階では最悪売上がゼロになる懸念もあったので、それに備えて渋谷のオフィス解約したり、自宅を安いところに引っ越して役員報酬も下げたりと、かなりコストカットは進めていました。コストカットにも解約手数料のような初期費用がかかるので、お金があるうちにやっとかなきゃいけないんですよね。本当にやばくなったときに後悔しないように、削れるものはほとんど削りました。

ーコロナの影響がこれから出てくるということはありそうですか? 

総じて、自分の事業にはそこまで大きく影響はなさそうですね。適切な市場で適切なアプローチが出来ていれば、そんなにネガティブにはならなんじゃないかなと思っています。むしろ投資していくべきタイミングかなとも思います。

ー最後に新生IVSに期待することを教えてください。

社会全体がリモート体制になって新しい出会いや新しい情報に触れる機会がかなり減った危機感があり、自分の価値観や考えが凝り固まってしまうような気がしているので、自分と違う意見や考えにたくさん触れる機会を用意してほしいというのがあります。もう一つは、投資先や提携先としてでも、友達としてでもなんでもいいんですが、オンライン上で色んな人と出会える環境があったら嬉しいです。

ーありがとうございました!

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取材・編集 : 西島伊佐武