【株式会社エニバ】「LOCALから熱狂を。」東日本大震災から立ち上がった起業家が東北を盛り上げる!

2020.08.14

 

株式会社エニバ

代表取締役CEO 山崎泰晴氏

仙台高専専攻科を休学し東大発AIスタートアップAidemyにて事業責任者を経験。マーケティングやセールス、カスタマーサクセスなどを幅広く担当し、チームでサービス向上と売上5倍UPを達成。現在はその経験を活かし、株式会社エニバの代表取締役CEOとして「LOCALから、熱狂を。」というミッションを達成するため、仙台でWEBマーケティング支援事業を展開している。

 

震災で感じた、人がいなくなる恐怖。

ー起業のきっかけを教えてください。

僕は福島の南相馬に住んでいたんですけど、中学二年の終わりに東日本大震災で被災しました。原発事故と津波の被害がダブルパンチで起こった地域で、祖母と祖母の家は津波に流され、山形に避難もしました。

当時、避難所ではボランティアをしながら少しでも皆のためになることをしたいと思っていましたが、まだ子供だったのでお手伝い程度のことしかできませんでした。その時から将来は影響力をもって東北に貢献できるようになりたいとずっと思っていました。

僕は南相馬にいたので、一瞬のうちに全員が町からいなくなるという経験をしたんですよ。何回か帰省もしましたが、町に人はほとんどいませんでした。避難してから一回も会っていない人もいて、「若者がいなくなるってむっちゃ怖いな」と思いました。経済なんて全く回っていません。

どこの地方でも人が減り続けると将来はこうなるのかなというのを震災で感じ取れました。

僕は今宮城にいるんですけど、仙台の学生は高校や大学を卒業すると、6割ぐらいが上京します。4割しか地元に残らないんです。当時避難していた、山形に関しては7割ぐらいがいなくなります。

地方の人口が東京に移るスピードってめっちゃ早いんですよ。これがさらに進んでいったら、「僕が前に見た南相馬みたいになる。」という危機感を抱いていて、「本当にこれは大変なことになるぞ」とずっと思っています。そこを僕が何とかしなきゃいけないと思い、起業を決めました。

初めは僕も成功しないと何も意味ないと思ってたので成功確率の高いと言われている東京で起業したんですけど、東京の人口密度の多さに驚きました。満員電車で2回待ちとかが当たり前のようにあって、これはマジでやばいなと思いました。

このまままでは今後、地方からさらに人がいなくなって、東京の人口は増え続けてという流れは避けられません。こうなったら多分日本は終わるなと思いました。

東京に一極集中してしまうと、地方では経済が成り立たなくなるし、例えば東京に大地震が発生したらアウトです。そういった社会課題をすごく危機感をもって抱えています。なので、どうやって地方と東京のバランスを適切にするかが僕の起業のモチベーションでした。

 

地方に良い会社を増やす

ー現在の会社事業について教えてください。

初めは、UターンIターンで優秀な人材を地方に紹介すれば地方格差の問題が解決できると思って、そういった事業をやっていました。でも、これがなかなか上手くいかなかったんです。他の大手Uターン、Iターン会社と言われる地方の人材会社でもうまくいってないんです。

なぜかというと、東京の会社みたいな活気が地方の会社にはなくて、優秀な人材を地方に連れてきても魅力のある会社が少なく、そこで働きたいってならないからなんですよ。人材を地方に呼び寄せることよりも、そもそも地方で充実して働ける環境がないということがより根本的な課題であると考えました。

地元に良い会社がないから卒業時に宮城から6、7割、山形から7割も東京に行ったりするわけですよ。なので、僕はまず地方で良い会社をつくる事業をやろうと思っています。

良い会社の僕の中の定義は、利益がちゃんとでてて経営状況が安定しているというのと、社会課題を本気で解決するビジョンがあるということです。めっちゃ儲かってて、めっちゃかっこいい会社には絶対に人が集まるはずです。

なのでまずは、売上を上げるというところで僕が知見のあるWEBマーケティングのサポートをしています。WEBマーケティングなんて東京だと当たり前ですけど、まだまだ地方では浸透していないんですよ。僕は勝手に地域特化型ブルーオーシャン戦略と言ってます。笑

それを地方に広めて地方の経済圏だけではなく、地方から全国や海外への販路の拡大を目指しています。全国展開に関しては僕がサポートしていますし、海外展開に関してはシリコンバレーの海外の会社と提携してサポートしています。

地方から経済をどう回していくかを考え、まずはWEBマーケティング支援という形でやっています。

まだ創業して2年ということもあり、今はプロジェクトごとの受託型がメインです。地方の人材ではなく、大手企業のマネージャークラスやスタートアップ役員などの優秀な人材と、副業・フリーランス契約でプロジェクトごとに動いている感じになります。地方の人材でやれよという突っ込みが入るところではありますが、地方から成果を出し、良い会社を作る事の方が優先順位が高いと考えているので、場所は拘らず優秀な人材とお仕事するようにしています。

今後は受託型ではない2つの方向性に向けて動いていきたいと思っています。

まず1つは、地方はマーケティング予算が少ないので成果報酬型でやっていかなければいけないと思っていて、既にそこに向けて動き出しています。

さらにその後のビジョナリーな会社をつくるところでは、一緒にビジョンやミッション、バリューをつくり、リブランディングしていく事業もやっていきたいと思っています。

ー東北で起業されていますが、地方と東京のスタートアップ環境の格差は感じたりしますか?

めっちゃ感じますね。地方にいるだけだと感じることはないんですけど、僕はコロナ前までは最低1ヶ月に1回は東京に行っていたので明確に違いを感じます。

まず、起業家のレベルが全然違います。なので、そういった起業家を周りに置いておくだけでもちゃんとした情報が入ってきます。地方にいると目線が低くなりがちなので、常に外部から目線を上げてもらう事を意識しています。

また、根本的な考え方のところで、地方企業の経営者だと正直お金儲けしか考えてない人も多いです。しかも、会社のお金儲けではなくて、自分がいかに儲けるかというところです。例えば2億くらいの利益を出して、利益の半分ぐらいを自分に入れれば、もう成功だよねみたいな。それで、満足して毎日キャバクラ通っているみたいな人もいます。

なので、まずは僕たちがしっかりとした考えを持つ企業をサポートして成功事例をつくり、隣の人が起業したら横の人も起業するじゃないですけど、「お前はそのままでいいのか」みたいなムーブメントをつくっていき徐々に感化していきたいです。

代表取締役CEO 山崎泰晴氏(左)と取締役COO 渡邉友章氏(右)

ー地方ビジネスならではの気付きや発見はありますか?

地方企業ではマーケティング予算が考えられていない事がほとんどです。

東京の企業だと、例えばLTVが100万円だからCACは1/3以下の30万円を目標にしよう。1ヶ月に5件欲しいから予算は150万円みたいなのがあるじゃないですか。地方企業はそこを考えられている会社がほとんどありません。営業している中で、教育が必要かつ実費として負担にならない提案が必要だという事が分かりました。

 

資本金2万円、投資前提で立ち上げた会社の危機。

ー今までのいろんな事業のハードシングスなどについてお話しいただけますか?

何個もあって、基本はお金の問題ですよね。お金の問題が2回ありましたね。

1つ目が資本金2万で初めて東京に出てきたときのことです。某VCに投資すると言われていたのに、東京行ったら全然投資してもらえなくて(笑)。資本金2万の投資前提で立ち上げた会社だったのに、メンバーも連れてきてしまっていたので、返す見込みもありませんでしたが消費者金融から借金をしてやりくりしていました。

そこで一旦就職しようということで、偶然、Aidemyという東大のAI学習のスタートアップで働かせてもらうことができました。ものすごい恩義を感じたので、死ぬ気で働いて貢献しました。そうして、何とか乗り切ることが出来ました。

その後Aidemyをやめて、地方でもう1回チャレンジするということで、東京のマーケティングコンサルのプロたちを地方企業に派遣する人材事業を立ち上げたときにあったのがハードシングスの2つ目です。

これも投資前提のモデルを組んでしまったんですよね。どう頑張っても継続案件が100件以上とれないと単月黒字にならないのに、お金のないうちから始めてしまい、また資金不足になりました。

その時は1万円のアパートに住んだりしました。地方の田舎の駅から歩いて1時間の一軒家の平屋なんですけど、お風呂はお湯がでないし、トイレは腐敗臭するみたいなところでした(笑)。その後、現在の事業にピボットして、1万円の家は回避できています(笑)。

ー今は、資金調達をあまり考えていませんか?

そうですね。モデル的にもエクイティが要らなくなったので。今後、資金調達をするとしたら、地方企業に合わせたSaaS等に取り組む段階です。プラットフォームを作って検証までは自分でやれますが、その次のフェーズでPMFを達成して伸ばしていく段階になったら調達する感じですね。

ー今後の展望やビジョンを教えてください。

僕のミッションは「LOCALから、熱狂を」です。そのために、地方からイケてる企業をたくさん輩出できるようにしたいのがまず1つ。もう1つは、こういうことを言うからには、自分たちもイケてる企業の中心的存在になる

東北で一番時価総額が高い会社って7000億円の東北電力なんですよ。その次が2000億円の銀行みたいな感じで、新興企業はほとんどない。なので、僕らは20年、30年かけてでも東北から1兆円の企業をつくりたいなと思ってやってます。

ーコロナの影響はありましたか?

影響としては、4月頃に案件が3件打ち切られてしまい、売上としては4月に一気に60万円ぐらい下がってしまったことなどがあります。コンサルなので一番初めに切られやすいですね。

運営面ではYouTubeチャンネルのお手伝いをメインでやっていたので、以前は毎回現場に訪問して撮影したり、コンサルティングしていましたが、そのスタイルをやめて、すべてオンライン化しました

一方で、結構いい風が吹いてるとも思っています。

今まで地方にとどまっていた企業が、オンライン化した瞬間に全国を目指す思考に変わったんです。地方から全国へっていうキーワードで人が動くようになりました。さらに、タイミングよく補助金等が入って、テストマーケがしやすくなっています。

ー最後にIVSに参加してみての感想や収穫を教えてください。

IVSに参加して僕に起きた変化は、経営者としての目線が上がった事と今後のリスクヘッジに尽きます。経営の先輩方が今まで経験した成功や失敗の実例を交えてお話してくださいました。

特に印象として残ったセッションは「ProductMarketFitのベストプラクティス」でした。SaaSや経営のスペシャリストが集まるこのセッションは豪華すぎました。話の内容としては、

・PMFを見極める定性定量双方の基準
・PMFするまでのメンタルの保ち方
・フェーズ毎に集中すべき箇所とチーム編成

というような話題について事例とセットでお話いただけました。

まさに視座向上とリスクヘッジのための知識が得られた素晴らしい体験でした。

今後はSaaS等の開発も検討していたところですので、この知識をベースに進めていきたいと考えてます。

ありがとうございました!

 

ーありがとうございました!

 

ー株式会社エニバのHPやYouTubeチャンネルはこちらから!ー

株式会社エニバ

AnybaTV(YouTube)

 

取材・編集 : 西島伊佐武 / ローランド・ノエル