【AC Biode株式会社】「世界初の交流電池」で環境問題に大きな貢献を!

2020.08.18

AC Biode株式会社

代表取締役CEO 久保 直嗣氏

世界初の独立型交流電池、プラスチックを解重合、ごみを炭化する触媒等を開発するAC Biode(エーシーバイオード)共同創業者兼代表取締役。商社にて12年間、アフリカ・中南米向けの機械、プラント、再エネ等の営業・ファイナンスを担当、途中ブラジルに駐在。退職後英国に留学し、CTO水沢と共同で、日本と英国にて起業(AC Biodeは2社目の起業)、現在に至る。英国Cambridge大学、米MIT、欧州宇宙機関ESA、韓国ComeUp等の国内外ピッチコンテスト19件で優勝。英国Cambridge大学院経営学修士(MBA)、慶應義塾大学環境情報学部卒。元アマチュアボクシングフェザー級全日本3位

 

大企業ではできない新技術をスタートアップで

ー起業の経緯を教えてください。

私は長い間商社に勤めていまして、エネルギーや機械、インフラなどの商売を投融資も含めて海外や日本でやっていましたが、大気汚染や気候変動などの環境問題に興味があり、それらをビジネスの観点から解決したいと考えていました。

大企業の中でそういった事業もやろうとしましたが、どうしても大企業だと利益率のルールなどが障壁となります。そのため、天然ガスや石油などの大型のエネルギー関係の投融資やコモディティ製品などの伝統的な利益率が高いものにどうしても事業が偏りがちです。

そうなると、我々が持っている触媒や電池の新しい技術には商社の中だとなかなかやりにくいですし、投資もしにくく、するとしてもシリーズAとかBぐらいから出資するんですね。

なので、それを待つよりは0から1をつくりたいなと思い起業をしようと決めました。最悪失敗してもどこか転職できるとは思ったので、今のうちにリスクを取ろうと会社をやめてイギリスのケンブリッジに留学をしました。

起業を前提に留学をしたので在学中にイギリスと日本で起業しました。なので、チームにはイギリス人などヨーロッパの人もいるので国際色豊かな感じでやっています。

ルクセンブルクに拠点がありますが、最初からヨーロッパを拠点に始めているので日本だけではなくて欧米でも資金調達や研究開発を進めています。

 

世界初の交流電池を圧倒的スピードで開発

ー事業について教えてください。

我々は世界で初めての交流のリチウムイオン電池を開発しているスタートアップです。

この交流電池は電気自動車やドローンなどのモビリティや、再生可能エネルギーの蓄電に使うことが出来ます。

電気には交流と直流がありますが、世の中にあるすべての電池は直流なんです。直流の電池には容量不足や安全性などの問題があり、新しい材料やリチウムイオン電池以外のタイプを開発するのには莫大な時間とコストが掛かります。事実、リチウムイオン電池が開発されてから過去30年間、原理原則は変わっておりません。

そこで、送電、配電、モーターには直流と交流があるのに、交流の電池はないのかと特許を調べると、交流の電池はありませんでした。そこで、開発をして特許も取得しました。

社名にもなっている造語のBiode(Anode:負極とCathode: 正極の間(Bi)なので、Biode)という両性電極を開発し、電池単体で交流の電気を発生させることに既に成功し、試作品も複数作成しています。

優位性としては安全性の向上や回路全体のコストの削減、寿命が2倍になること、容量の増加、他の電池にも応用可能、既存の材料や生産ラインでつくれることなど、いくつもあります。

電池の専門家と組んでやっているので技術もありますし特許も日本とヨーロッパとで3つあります。資金調達も日本とヨーロッパで調達できまして、補助金も頂いて今進めています。

いきなり大型のEVや蓄電には技術的、商業的にいけないので、来年の半ばぐらいにまずドローンで実証実験を行う予定です。

これは電池業界ではかなり速いスピード感です。通常、電池の開発だと5~10年程かかりますし、費用も何億、何十億円という単位でかかりますが、我々は2年という短い時間かつ少ない費用で実証実験まで進むことが出来ます。

その理由というのは材料も製造ラインも全て既存のものを使っているからです。製造のハードルを低くしてスピード感がでるように工夫しています。

他の研究開発だと、新しい材料を作ったり、リチウムイオン電池以外の電池を作ろうとしているのでどうしても時間とコストがかかるのです。

ーもう少し具体的にはどんなユースケースがあるのでしょうか?

太陽光発電は直流なので使えませんが、風力発電や水力発電のようにタービンを回して発電するものは交流なので、それらの蓄電に使えます。

また、交流は高電圧に適しているので、空飛ぶ車や飛行機を電動化するのにも使えます。宇宙系はほとんどが太陽光なので使えないと思っています。パソコンやスマホのような小さな家電機器などは直流で動いているので同じくメリットがないです。

少しマニアックな話をすると回生ブレーキといって、電車や車ではブレーキをかけるときに電気の回収しているのですが、それは交流なので使えますね。

そういった高電圧の電気や容量が大きいもの、電圧が高いものを考えてます。

ー現状の再生可能エネルギーの蓄電時には発電した交流電気を直流に変換し、送電時に再び交流に変換している場合がほとんどです。交流電池を使用するとそういった変換の際に生じる電気のロスがなくなるのでしょうか

我々の技術もロスはあるのでそれが完全になくなるわけではないです。

そこは良く誤解されるところですが、交流と直流の変換効率が良くなることよりも、交流にすることによって容量が増えたり安全性が高まるなどのメリットの方が大きいです。

ー今まで話をしてきたクライアントからの反応はポジティブですか?

そうですね。日本の大手企業や海外の大手自動車メーカーなど色々な企業から引き合いをもらっていて、既に5社からはLOI(意向表明書)を頂けています。

例えば、モーターを高電圧で高速で動かす電気自動車を開発している企業からお話を頂いています。

また、ドローンは現状だと20~30分しか飛べないので、それを交流電池を使って30%でも容量を増やせないか実証実験をしたいという話もいくつかもらってます。

一方で、交流電池という発想がまだ世の中に浸透していないので、本当にできるのかという反応もよくされます。そこは、これから実際にデータをとっていってエビデンスを集めていきたいです。

結局は鶏と卵で、データを取らないとお客さんも投資家も信用してくれません。一方でデータを取るためには研究開発や実証実験で数千万円はかかるので、そこのバランスを取りながら、引き続き進めていきます。

ー両性電極の仕組みはどのようになっているのですか?

両性電極なので、イオンの流れに応じて、プラスにもなればマイナスにもなるような仕組みにしています。

今の電池でも電池とスイッチを複数並べれば交流をつくれますが、それだとフィルムやケースが二重になり大きくなってしまいます。

我々の特許はすごく単純に言うと、電池を複数並べたものを電池1個2個の中にコンパクトに工夫して並べたものです。電池単体で交流がつくるためには両性電極がないとできません。

この両性電気があることで、寿命が延びたり、負極マイナスのところがダメージ受けられないような構造になるなど、いろいろメリットがありますね。

電気回路も工夫しています。普通の電池メーカーさんだと電池に特化されていて電気回路の開発はしていません。逆もまた然りで、回路メーカーさんは回路に特化して電池の開発はあまりしない。

そこを我々は交流電池に適した回路のつくり方をしています。うちのCTOがもともと筑波で粒子加速器の研究をしていたので、回路の目線と電池の目線の両方を横断的に工夫できていて、そこが差別化の要因の一つだと思っています。

 

技術開発系スタートアップの苦悩

ー資金調達についてもお伺いしたいのですが、こういった最先端の技術開発に対して投資家はどのような反応をするのでしょうか?

僕はバリエーションなどの肌感覚をつかむために100社ぐらいに会いましたが、そのうち80~90%ぐらいは最初からお断りという感じでした。

そもそも、サイエンス系を対象にしていないというところがほとんどです。分かりにくいですし、初期投資が大きく、商業化まで時間もコストもかかります。さらに、サイエンス系を対象にしている投資家でも、シード時期だとわからないことが多いので、シリーズAB以降じゃない投資しないところが多いです。

我々は欧米でも資金調達していますが、日欧米のどこを見ても、本当にシードから最先端のサイエンス系、特に我々のような世界初といったスタートアップに投資するところは、個人の経験では510%いるかいないかぐらいです。

その中からさらに交渉するので、サイエンス系のスタートアップの資金調達はかなり大変ですよね。

日本でも、マニアックでニッチなサイエンス系スタートアップに出資するVCというのは本当に限られてくると思います。しかも、我々は大学のスピンアウトではないので大学系のVCや大学の研究費も使えないので最初はゼロからで大変でした。

ーそういった厳しい環境の中で、資金調達に成功しています。

基本的には、調達先は公表していませんが一つ公表しているところがあります。すこし変わっていて珍しいかもしれませんが、EUの傘下のEIT InnoEnergyという組織から出資してもらっています。

私個人の経験なので一概には言えませんが、バリエーションなどの条件は欧米の方が一般的には良いと感じました。

ー彼らはサイエンス系に特化したVCなのでしょうか?

そうですね。エネルギー系では世界最大級の投資会社です。

ヨーロッパは電池など再生可能エネルギー系にかなり力をいれています。環境系は日本も進んでいますが、ヨーロッパはさらに進んでいます。

もう一つヨーロッパが電池に力を入れている理由としては、大手電池メーカーがほとんど東アジアにあることへの危機感があります。Mobility向け電池の生産は日本、韓国、中国でほぼ独占しています。

電気自動車が世界で一番進んでいるにもかかわらず、電池はほぼ全て輸入なので、そこのギャップを埋めるために必死です。

そういった背景もあり、EIT InnoEnergyからアプローチを頂いて条件も良かったのでサインしました。

ーサイエンスに力を入れているVCでも、やはり説明コストはかなりかかるのでしょうか?

もちろん説明コストはかかりますが、彼らの組織の中にはエンジニアがいます。なので、サイエンス系やディープテック系の投資判断はそのエンジニアたち行っていると思います。

個人の経験では、日本にはそういった(エンジニアがいる)VCはまだ少ないと思いますし、CVCでも一般的にはサイエンス系にシードから出資するところはかなり少なくて、実際はシリーズAやBからですよね。

 

日本から環境問題を盛り上げたい

ー今後の展望やビジョンを教えてください。

欧米のように環境問題を前面に出しているスタートアップは日本ではまだまだ少ないと思います。なので、日本人として環境問題についてさらに広めていきたいと思います。

特にこの電池事業でやることは、本当にうまくいったら世界初なのでいろいろと注目も集まると思いますし、そうすればより大きなことにチャレンジできます。

ひとまず来年の半ばぐらいまでに頑張って実証実験の結果を出したいと思っているので楽しみにしていて欲しいです。

ー最後にIVSに参加してみて感想や収穫を教えてください。

初のオンライン開催ということで、すごく新鮮で面白かったですね。

リモートなので距離は感じる一方で、非常に便利でした。別件をやりながらラジオみたいに聞けばいろんな方の話が聞けますし、移動費などのコストもかかりませんし。

良くも悪くも、オフラインとオンラインとでそれぞれ一長一短があるのでそこをうまく使い分けることが大切かなと思いました。

投資家さんが登壇するセッションを主に見ていましたが、普段は聞けないバリエーションやIPO前後の見方などが知れて参考になりました。

あとは、IVSに対してというよりは日本全体に対してになりますが、ヨーロッパではフランスのHello Tomorrowなどのサイエンス系に特化した大きなイベントがたくさんありますが、日本にはまだ数が少ないのでもっと増えてほしいと思っています。日本のモノ作りは世界でも通用しますし、イベントは英語でやってもいいと思いますね。

また、海外の大きいピッチコンテストだと賞金が10万ユーロあったりもします。賞金の金額が日本のコンテストとはケタ違いなので、日本にもそういった大きな賞金などがあってもいいのかなと思います。

 

ーありがとうございました!

 

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コメント:当社は、日本のスタートアップで唯一、欧州連合EU傘下で持続可能エネルギーでは世界最大級のEIT InnoEnergyから出資を受けており、日本のみならずルクセンブルクと英国ケンブリッジに拠点があります。(今採用はしておりません) 来年半ばに、まずは産業用ドローンで実証を行う予定です。


取材・編集 : 西島伊佐武